1.《ネタバレ》 祝! 劇場公開決定!!
本作を観賞したのは2012年3月、長期出張中のフランスの田舎町の小さな映画館。
日曜日は殆ど全ての商店が休みとなる中、する事も無く暇を持て余していた私はその町でたった一つの映画館に赴いた。
その映画館は小さいながらもシネコン様式で有り、スクリーンは6つ。
その中でも一番小さなスクリーンで本作は上映されていた。
この作品を観る事に決めた理由は特に無い。劇場に貼られたポスターがただ何と無く気になったのだ。
観客は私も含めて6人。 地元の高校生だろうか、フランス語で賑やかにお喋りをしている。
「上映が始まっても騒いでいたら嫌だな・・・」残念ながらフランス語が判らない私はどうやって英語で注意しようか、作品よりもそちらの方に思いを巡らせていた。
前置きが非常に長くなったが、そんな私の心配は杞憂に終わった。
なぜなら、本作が非常に面白かったからだ。
フランスは吹き替え公開が主なので、登場人物は皆さん流暢なフランス語を話している。
だが、それでも私には本作が完璧に把握出来、のめり込んで観賞してしまった。
地元の高校生達も映画に集中しているのが雰囲気から判る。
舞台はよくあるアメリカの田舎町。
個性豊かな高校生の3人組がふとした偶然から超能力を身に付ける。
若い3人達は初めは子供の遊びの延長程度で超能力を楽しんでいたが(この描写も良く出来ている)、決して幸福とは言えない主人公の境遇が、思わぬ悲劇をもたらす事となる。
中盤~後半に掛けての主人公の暴走と、それを客観的に写し出す今や世の中に溢れかえっている沢山のカメラ達の描写が秀逸だ。
これらは即ち、もはやプライバシーなど存在しない現在の世の中を暗に批判しており、事態が加速度的に悪くなるドライブ感との相乗効果も有って物語は怒涛のクライマックスを迎える事となる。
最後の締め方も動と静の対比の様な何とも言えない余韻が有り、これこそ正に「映画を観た!」と心から思える文字通りの快作だと思う。
帰国後、中々日本で劇場公開が始まらず業を煮やしてamazonでブルーレイを購入。
日本語字幕は無かったが私の拙い英会話能力でも、フランスで観た時の感想が間違いでは無かった事が判り嬉しかった。
残念ながら日本では東京で期間限定の劇場公開しかされない様だが、本作は本当にお奨め。
映画好きなら時間を作ってでも観に行くべき!!