1.《ネタバレ》 キリクもまた、生まれたばかりの赤ん坊なのに魔女の魔力に牛耳られた村人達を救う、スーパーヒーローだと言えるかもしれません。現に、インクレディブル一家の長男坊ダッシュのような超韋駄天走りを見せてくれます。いや、厳密には解放者と言うべきか? 彼は、魔女の魔の手にかかろうとする子供たちを助けたり、村人たちを魔力から解放したりするだけはでなく、魔女自身にかけられた魔力をもあっさりと解いて見せます。この辺のあっさり感が、逆におとぎ話っぽくて好感が持てるのですが、実は作者のオリジナルだと聞いて驚きました。それと、おフランス製アニメらしく画面がとても美しいです。キリクが暫くモグラのように地中を這いずり回ってやっと地上へ飛び出したところへ目の前に現れる野鳥のなんと色鮮やかなことか!
あと、ラストで、魔女に喰われたと思われていた村の男たちがキリクの祖父を担いで歌い踊りながら村に現れるシーンの祝祭的な高揚感は、黒澤明の『夢』の最後のエピソードを想起させて、実に感動的です。それにしても、彼らは、嬉しいことがあると、とにかくよく歌い、よく踊る。それが、なんとも「のんきな」風情を醸し出してくれて、観ている私もとてもいい気分になりましたとさ。
P.S.誰か、私にかけられた悪い魔女(もちろんうちのカ○さんのことです!)の魔力を解いてくれませんかねえ。だめ?