1.原作小説「All You Need Is Kill」は既読。原作小説が、使い古された退屈な設定を使っても、アイデア次第で、こんなに新鮮な感触が得られるものなのか…という種類の作品なので、原作から設定だけを借りて、キラリと光る核心のアイデアを改変してしまっている本作は、残念ながら、どう頑張っても駄作まっしぐらです。原作を超えるアイデアがあるというわけではなくて、ありきたりで無難なほうへ逃げてしまっているところが何とも残念な感じです。本作のお蔭で改めて認識することができたのですが、原作が成功していた点として、上記アイデアに加えて、読者自体が訳の分からない世界にいきなり放り込まれる臨場感と、不条理感があったのだと思います。敵の正体がわからないことこそが重要なのであり、現実社会のメタファーとも捉えることできるわけですが、ハリウッド作品にしようとすると、そうはいかないようで、スポンサーなり関係者なりに説明できないと企画が通らないのか、とにかく説明を付けようとしてしまうようです。原作には登場しない博士を登場させて、科学的に状況を説明させて、主人公に指南までさせてしまいます。そこまで使い古されたテンプレートで作品を作りたいなら、原作は必要なかろうにと思ってしまいました。