1.《ネタバレ》 しかし、日本の最近の戦争映画はどうしてこうも緊張感に欠けるのだろうか。
およそ終戦間近という時代背景や、回天搭乗員が乗艦している虚無感、そして作戦に従事する僚艦が全て沈没し、残った自艦は今や敵駆逐艦に完全補足されているという絶望感が全然伝わってこない。
また、潜水艦という過去の同系の映画であれば当然漂う館内特有の閉塞感が、
この作品からは微塵も感じられない。汗ひとつかかない乗組員の表情からは
真夏の南洋下にありながら、どこかエアコン完備の一流ホテル並みの居心地の良さすら感じるのは私だけであろうか?
役者もイケメンで、かつ戦時中であることを加味してスリムな人間に演じさせれば
事足りる程度の安易な選択だったとしか思えない。
なにやら途中からは、双方の艦長は自己の本来の任務も忘れ去り、
お互いの戦術の読み合いや駆け引きが展開の中心になり、しょうもないゲーム感覚が漂ってきたが、そんな暇があったら、潜水艦独特の浮遊感や居心地の悪さ、過酷さを丁寧に描いていくことこそが、テーマであるはずの「生きるために戦う」を訴求するのに必要だったと思う。
戦闘シーンの迫力のなさも失望。「ローレライ」の方がまだ良かった。
最後の安易な話の落とし具合といい、オリオン座との無理なからませ具合といい、
なんとも暗澹たる思いで、映画館を後にしました。
(苦言ばかりで申し訳ありません)