1.《ネタバレ》 この映画が製作されたのが1954年。これは「ゴジラ」と同じ年で、この年が日本の特撮映画元年と言っても良いのでしょう。その後、東宝は「ゴジラ」に代表される怪獣ものと、この映画のような変身人間ものを両輪として特撮映画を製作して行くことになる。その意味では歴史的作品とも言える。主人公が二次大戦中に軍部によって肉体改造を施された透明特攻隊(!)の生き残りという設定で、平常時からピエロのメークをして社会生活を営んでいる姿には悲哀が滲む。戦争の傷跡を背景に据えたドラマである。しかし「ゴジラ」に迫力が有り過ぎるのか、1930年代の同名ハリウッド映画が存在するからか、どうも小振りな感が否めない。自分はさほど面白く感じなかったのも事実である。それは安直なストーリーに負うところも大きい。特撮部分に主眼を置いて製作されたとしても、同じ年に「七人の侍」が世に出ていることを考えると、この脚本はレベルが低いと言わざるを得ない。透明人間と戦っている悪人たちが、一人芝居を演じている様がしらじらしく映った。申し訳ないが、自分には当時の銀座の街並みや街頭テレビを見入る人たちといった、タイムカプセル的要素の方に意義があった。