1.《ネタバレ》 予告編見て『セブン』かなと思ったんですが、本編見たらそんなには『セブン』じゃなくて、でももっとちゃんと『セブン』だったらまだマシだったのに、と思いました。
小栗旬の刑事があり得ないくらいのブチギレっぷりで冷静さの欠片もなくて力み過ぎで独断専行しまくって案の定危機に陥って、一方カエル男は万能過ぎちゃって、どんだけ都合よく動けるんだって状態で(常に誰にも見られずに殺して、死体や生きた人間を一人で運び出せちゃう)、つまり間抜けな警察と超人的な犯人のドタバタっていう邦画の毎度のパターンを踏む映画。犯人の居所が判って以降の後半はどんどん失速していって、映画の流れが停滞しまくってダラケるダラケる。
でも、最もひっかかったのは裁判員制度に対して批判的な立場を取った物語だという事。無実の人間に死刑判決が下された裁判、その裁判員の命が狙われてゆくという物語は、制度そのものに対する直接的な批判ではなく、裁判員になる可能性を持った一般人に対する脅迫という形になっています。現実ではあり得ない杜撰な裁判を通して「裁判員になると命を狙われたりマスコミから人殺し扱いされて追われたりしますよ」と脅しています。スタッフにしろキャストにしろ、ちゃんとそこに責任を負えるんでしょうか? 表現は自由でもそこには必ず責任は伴うわけで。
これ、頭の悪い娯楽映画のフリして観客を脅迫してくる悪質な映画なんじゃないかと思いました。