2.《ネタバレ》 原作はアイラ・レヴィンが23歳!で書き上げた処女作にして戦後ミステリでも確実に十指に入る傑作である。が、本作はプロットから何から全く原作とは似ても似つかぬショボい駄作サスペンスと成り果てている。TVの「~曜サスペンス」とイイ勝負だろう。若干でも原作を匂わせるのは”ラジー”女優が二役で双子姉妹を演じているトコロくらいか。尤もコレにしたって原作は三姉妹なんだが。根本的な原因は監督や脚本の拙さにもあろうが、矢張り犯人を最初から見せ過ぎた点に尽きる。原作では敢えて「彼」と三人称代名詞を使うことでミステリの醍醐味「誰が犯人なのか?」を終盤まで絶妙に煽る妙手を披露し読者を唸らせたが、コイツはマット・ディロンが最初から「僕でーす!」と高らかに宣言してやがる。そうなれば後は「どうやって犯行を達成するのか?」に興味が移るが、何の工夫も捻りも無い。レヴィンに限らず優秀なミステリを映画化するのならワイルダーの「情婦」(クリスティ原作)や黒澤の「天国と地獄」(マクベイン原作)レベルにまで昇華させる高い力量が不可欠である、という良い反面教師としての存在価値にのみ3点。身の程を弁えろってねw。