1.すごく惜しい感じ。素材としてはけっこう面白そうなのに、いろいろ盛り込み過ぎて、一方では説明不足で、見ているうちに小さな「?」が積み重なっていきます。
まず博士について。そもそも「博士号を持たない言語学者」という設定がよくわからない。そこそこいい暮らしをしていたようですが、どうやって食ってたのか。今なら電波芸者にでもなれば稼げるかもしれませんが、当時は誰がカネを払っていたのか。奥さんの描き方も中途半端。弟子らしきスタッフについては素性もまったくわからない。
また狂人について。なぜ元米軍医がイギリスにいたのか。中盤以降、施設の所長は何を思い、どういう治療を施そうとしたのか。別に被害者妻との交流もいいけれど、やはり描き方が中途半端でもったいない感じ。
結局、ショーン・ペンのせっかくの熱演が気の毒に見えてくるだけ。制作方針をめぐって訴訟問題にまで発展したそうですが、その混乱ぶりが映像画面から滲み出てくるようです。