1.《ネタバレ》 「おまえの出身地は?」「コロラド州です。」「OK。おまえは?」「⋯⋯。」「英語がわからないのか?」「⋯⋯(本当はわかっている)。」(数回の同じ質問の繰り返しの後)「香港です。」「じゃあ中国人だな。」ズドン。まあ職務とは言え、そこには何らの意思疎通も考慮もないし給水車を待つ群衆に爆弾が投げ込まれてたりとか⋯。わたしはこの作品が現在を舞台としていると知って以来、リンカーン大統領政権の1861年に始まった南北戦争(Civil War) の際にあったアメリカ北部と南部の経済発展の岐路についての希望の相違などをじっくり描いていることを期待していましたが見事に裏切られました。登場人物の一人である駆け出しのフォトジャーナリストの女の子のように凄惨な光景に傷つくだけで終わる見方もありますがわたしはかつて経済学の学徒で今でもどんな分断や闘争においてもその経済面での源泉を明らかにして対策を考える習性を発揮してしまうのです。このサイトの規約で途中で寝落ちした鑑賞者は投稿できませんが違うことを考えていた場合の投稿は禁止されていないと思うのでお付き合い願います。(以下はわたしの妄想です。)アメリカの連邦政府にたてついたのはカリフォルニア州とテキサス州ということでカリフォルニア州は財政破綻が取り沙汰されたことがある州ですがカ州が外交や通商を委任している連邦政府に反旗を翻したのは連邦税(所得税)の徴収に端を発しています。カ州政府は州内の連邦歳入庁(IRS)の職員を拘束し、データベースを改編して徴収された連邦税を州の歳入に繰入れ、更に各州に税率や課税品目の選定を一任されている売上税の税率を引き上げ、同時に州民の州境を超えた買い出し旅行を制限するために州境に越境税徴収所を設け、特にラスベガスがあるネバダ州に赴く者については苛烈な越境税に加えてロサンゼルスやサンフランシスコに到着した国際便の乗客もカリフォルニア州内のホテルに一泊した後でなければ国内線でネバダ州に行けないように連邦法である出入国管理法を改変して管理にあたる連邦公務員に遵守を強要しました。これがカリフォルニア州と連邦政府との確執の端緒となりましたがこんなことは作品中では一言も説明されていませんので期待しないでください。テキサス州では移民問題がきっかけと思われますが同州の問題と両州ー連邦政府間に生じた対立の平和的解決策はこれから考えます。ワシントンDCでの市街戦のシーンは戦前日本の226事件を想起させました。226事件で命を失って1番惜しかったのは世界大恐慌で頂点に達する4連経済パンチを受けながら他国よりも早く日本のデフレを解消させた元大蔵大臣の高橋是清でこの人を生かせていたら日本は中国に進出する必要はなかったかもなのですがそんなことを言ってもどーしょーもないのです。ただ日本の場合「(天皇陛下の)勅命下る。反乱分子は速やかに投降せよ。」というアドバルーンを東京上空に放ったことによって事態は収束しましたがアメリカの大統領には皆さんもご存知の通りそんな神通力はないですよね。まあ、いろんなことを考えたい方はこの作品を見てください。残酷シーンが苦手な方にはお勧めしません。