1.不得手なジャンルの映画を無理矢理撮らなければいけなくなリ、手も足も出ない状態で右往左往してる状況が目に浮かぶようです。あまり評判が良くない作品というのは聞いていたので、それほど期待もしてなかったけれど、当時の大映ご自慢の絢爛たるテクニカラーと京マチ子の美しささえ堪能できれば・・・と淡い希望をかけていたものの、結局どちらも満たさせず・・・。ニュープリント上映で画面が非常にすっきりと明るい「新・平家物語」を先に観てしまったのがいけなかったんでしょうか?この手の映画は「クレオパトラ」みたいに、観客をあっと言わせるような大スペクタクル場面を用意しとかないとはっきり言って辛いです。溝口演出に冴えもキレも殆どみられず。このハナシを観る限りでは、それほど楊貴妃と楊一族が国政を傾ける程の贅沢三昧をしたようにもみえないので、あれよあれよと進むクライマックスの展開には、口をあんぐり開けて見物するより他なし。残念ながら外国輸出用に東洋のエキゾチズムを売りにした空疎な失敗作と認定せざるを得ません。(→池袋文芸座「リスペクト溝口健二特集」にて鑑賞)