3.以前にロバート・デ・ニーロ主演の「15ミニッツ」という微妙なサスペンス映画がありましたが、本作もそれに負けず劣らずの微妙な仕上がりでした。とにかく脚本がボロボロ。気の利いたトリックを準備するのではなく、膨大な情報量で観客を翻弄して推理する暇を与えないという最低の方法をとっています。劇中には多くの容疑者が登場するものの、ラストに明かされる犯人は多くの観客が最初に疑った人物というのはあんまりです。真犯人の目的はあまりにバカバカしすぎるし、高名な犯罪心理学者という主人公の設定はまるで活かされていません。専門性を活かした高い交渉力や推理力を披露することは一切なく、抜け道だらけの犯罪計画にどっぷりハマってあたふたするだけ(素人考えの捜査などやめて、早く警察に駆け込めよと思ったのは私だけではないはず)。一般の中年より頭悪いです。。。
さらに問題なのは、アル・パチーノが役にまったくハマっていないこと。高級マンションに住んでスポーツカーを乗り回す独身貴族という役回りはリチャード・ギア辺りが演じるべきであり、アル・パチーノではシリアスすぎました。遊び人に見えて、実は心に深い傷を負っているというキャラ付けにしても、どう見ても過去に何かあったようにしか見えないアル・パチーノが演じたのではサプライズになっていません。