2.《ネタバレ》 個人的な嗜好から述べると、どうにも松山ケンイチという俳優が好きになれない。
若手俳優の中では実力のある良い俳優だとは思うが、どの出演作品を観ても、いまひとつ好感が持てない。
俳優に対する“スキ・キライ”の判断材料は、結局のところ出演作品での役柄が、良いか悪いかだと思う。
要するに、自分が好きなキャラクターを演じている姿を観たことがないから、松山ケンイチという俳優が好きではないのだと思う。
そして、今作においてもその結論は変わらない。むしろさらに悪い方向へ深まった気がする。
先ず、主人公のキャラクター性におさまりが無さ過ぎる。
破天荒だけれど純粋な青年という設定だろうが、あれほどまで自由奔放な滅茶苦茶さを全面に出されては、ちょっとついていけない。
ネイティブな「津軽弁」も手伝って、冒頭からいきなり置いてけぼりをくらう形になってしまう。
農薬をかぶることによって、無理矢理にその「人格」を矯正して、命を懸けてまで恋を成就させようとする姿は、美しくもあるけれど、やはり「イタイ」という感覚の方が上回る。
主人公のキャラクター性に合わせるかの様に、ストーリー自体もどんどん破天荒に展開していき、最終的には意味深ではあるが、シュールという形容ではおさえられない悪趣味な結末に辿り着く。
映像は全編通して美しく、画作りも巧い。部分的に見れば俳優に対する演出力も非凡だと感じた。
けれど、求めたテーマ性を深くえぐろうとするあまり、観ている方はとても居心地が悪い。結果として、極めて独りよがりな映画だと思う。