1.《ネタバレ》 今作だけの事ではないのだが、最近のアニメーションはコンピュータの導入が進んでいて、人間の動き以外の動きは、運動計算に基いて、かなりリアルな動画となっている。自動車の止まる時の、サスペンションの揺れ戻しなんか、顕著な例である。ところが、そういうのと、人間たちの動きが、絶望的に合っていない。物体だけリアルに動いて、人間だけリミテッドアニメの動きというのはとても気持ち悪い。絵柄もそうだが、動きだって、全体の統一感が大事なのではないだろうか?
それと、いつもの真っ黒描写で描いていた、犯人の犯行準備を行なっていた場面。わざと古いフィルム的な効果を出していたのは、一体何故なのだ?ひょっとして、暗所の好感度撮影時のノイズを表現したのかな?それにしちゃあ、フィルム特有の盾傷も描かれていたし。時期的には現在の犯行を描いている場面なので、意味がわからん。
まあ、それはともかく、相変わらず、壮大な事象を起こす割には、犯行動機がしょぼく、爆弾の入手や物量など非現実で、そのご都合主義には、呆れ返る。推理モノって、そういう所があまいと途端に白けちゃうものなんだが。
ところで『戦慄の楽譜』の時にも感じたのだが、派手な部分は別として、事件のコアな部分がどうも、東映系刑事ドラマで見たことある感じなのだ。何だったか思い出せないが、今回のも、急病の子供を乗せた救急車が、渋滞的なものに阻まれて、それを恨んだ犯行、というドラマを思い出す。字にしてみると、似ているどころではない。これは、かなり問題だと思うのだが、どうだろう。