1.《ネタバレ》 白熱する槍の衝撃などは、ハリーハウゼンのダイナメーションならばそれを持つ人間のリアクションをフルショットで撮って絶妙に表現したことだろう。
単に透過光処理に頼るだけの超常パワー表現にはまるで魅力がない。
『南の島に雪が降る』のニューギニア戦線の兵士たちが、紙製の偽物の雪に感動したのはそれが本物そっくりであったからではなく、あくまで理想イメージとしての雪とダブらせ、尚且つ人間が心を込めて手作りした触覚的な感覚を受け取ったからこそだろう。
前作および本作のCGIクリ―チャ―がいかにリアリスティックでも、1981年版『タイタンの戦い』のダイナメーションのもつ文化的感動に及ばないのも恐らくそれに近い。
キメラやミノタウロスの目まぐるしく「本当らしい」動きと慌ただしいカメラワークは結局のところ魅力的なキャラクターとして、あるいは印象的なショットとしては残ることはない。
アレスとペルセウス一騎討ちの単調な肉弾戦も同様だ。
3Dも含めたテクノロジーの飛躍は刺激と錯覚にのみ向かっている。
CGIが精巧かつ迫真であるほどに当然ながら失われてしまう人工的輝き。
そうしたパラドックスがここにも見られる。