4.《ネタバレ》 ニュアンス。そう、ただひたすら、ニュアンス。英国のお屋敷の、執事やメイドたちがあくせく働く姿、お金持ちたちの晩餐風景、だだっぴろい生垣迷路のお庭でのあれやこれや・・・。
ストーリーは
”仕事人間だけどプライベートはぶきっちょな執事と、感情的で我が強いメイド長が、惹かれあってるかんじだけど、コクれなくって、お互いに何も起きずに終わるお話”
にすぎないが、その不完全燃焼なストーリーを2時間近くかけて消化させるために、上記の<ニュアンス>場面が延々と続く。
ご主人がナチ寄りだとか、お屋敷にアメリカ人が住むことになったとか、ヒューグラントがパパラッチだとか(ちょい違う)いろんなエピソードを盛り込んだところで、「いやいやそういうことじゃなくって、二人の恋愛にもっとグリップしろや!」と机をドンドンっとたたきたくなるわけである。
二人が惹かれあう理由がそもそも、そういう<英国ニュアンス>場面に尺をとってるせいで、描ききれていないところも問題だ。
執事が、感情を殺して仕事に専念し、見事な采配ぶりを見せるという姿はアッパレではある。
サイボーグアイドルのようにスキャンダルはいっさい起こさず見事にアイドルを貫いたAKB48まゆゆが引退後に
「いろいろなことが起きるからいちいち感情を動かしていたら身がもたなくなる。10代の頃に感情は捨てた」と言っていたが、つまり仕事を完璧にこなす人間は私情だの感情だのにふりまわされないこそ、そうあれるのだろう。
だからといっても、執事とメイド長が惹かれあう理由を描ききれておらず、説得力にかけることの言い訳にはなるまいぞ。
二人が再会し、そして永遠に別れるバス乗り場での場面も、エマが顔をシワッシワにさせて泣きじゃくってはいるものの「ん~なんでそこまで泣ける?そこまで好きになれる?」って、心がゆれることはなかったですよ。
それで悶々としたあとに切り替わった最後の場面では、お屋敷の暖炉にハトが飛びこんできちゃったので、執事とアメリカ人が一生懸命外に出そうとして、ワタワタする様子が描かれている。そしてハトは無事、屋外へ。めでたしめでたし・・・the end。
・・・って、ぜんぜんめでたくないわっ!
何が言いたいのかサッパリ。屋敷に入ってきたハトみたいに、キョトンとした顔をするしかないではないか。