2.《ネタバレ》 一乗寺の決闘は途中でカットされ、佐々木小次郎との対決は呆気なくツッコミ入れたくなる。ただ「ショーはいらない」との溝口健二らしくもある。リアリズムを求める彼の事、やるとなったら本当に斬り合いをやりかねないということか・・・剣豪・武蔵というより、兵法家・武蔵として描いているところが溝口健二らしい。ただ、中身はかなりおおざっぱだ。野々宮姉弟が復讐に至る経緯や、武蔵が既に境地に達している前提で撮られているため説明は省略している。進行にも冴えがない。その代わり、美しい光景や縦・横の奥行きのある構図、いつもの長回しなど映像面でオオっとくるんですけど・・・55分の時間からも、少なからず戦時の影響で余裕を持って製作ができなかったのであろう。何れにせよ、「定番時代劇」としては撮らないという監督の意図が感じられました。