10.《ネタバレ》 むかし国民の環境意識が高まる中で“水”が変に注目された時期があり、そういえばそんなこともあったと遠い目になるが、そういう時代の産物にしても気分先行で客観性に欠けるように思われる。水循環をわざわざ神様化してみせたことで、かえってわけがわからなくなっている感がある。
またドラマ部分では姉弟の成長が大きな主題になっていたようで、いずれは別れの時が来る、というような話とともに個別の名言や親からの自然な体得、ふとした気づきといったようなことがいろいろ出ていたが、まあ見た児童がどれかに引っかかれば可という感じであまり一貫性は感じられなかった。
そのほか、神様というなら貴人の格好が本来ふさわしく(「千と千尋」を参照)、武士にする必然性が感じられないのは基本的な難点と思う。
ところで個別の登場人物に関しては、まずは25歳(推定)にもなって夢見がちな由紀先生が注目される。終盤で少女のようにはしゃいでいるのはやりすぎだが、これはこれでお茶目で可愛らしいのでまあいいかと思う。原田知世のおしりに触るなどというのは子どもであっても許せない。
それから一回り若い世代としては、主人公の姉がいかにも幼い頃の伊藤歩、という感じで可笑しく、きょとんとした顔に見える場面もあって愛嬌がある。思春期の少女が何を考えているかはよくわからないが、第三者が見ていても普通にかわいいと思うし、将来は間違いなく魅力的な女優になると保証する。
そういうことで、理屈の面では評価が難しいとしても、全体としては微笑ましいお話に思えて来るのでまあいいのではないかと寛大な気分になる。どうも女優を見ていると採点が甘くなるのは個人的な悪弊だが、ほか全体的にもファンタジックで大げさな感じが実はそれほど嫌いでなかったりする。ネコとのからみもよかった。