1.《ネタバレ》 『自身の妻の後夫探し』なる特異な企画は、主人公の未来志向の表れでもなければ、放送作家の矜持でもありません。単に、死の恐怖から逃げたものと推測します。ライターの豊かな想像力は、余命僅かな者にとっては毒でしょう。ですから、敢えていつも通りを突き通したと。後夫探しは、企画会議で出がちな“冗談全部企画”に他なりません。彼の言葉を借りるなら、死の恐怖を無理矢理オモシロに変えたわけです。これは緊急避難としては有効な手法と考えます。逃げることは、卑怯でも何でもありません。病を悲観して自殺を選択するくらいなら、現実逃避の方が遥かにマシです。偉いのは妻でしょう。死に行く夫の最後の(だだスベリの)オモシロに付き合ってくれたのですから。原田泰造も、ほんとイイ人。彼はきっと良い家庭を築くでしょう。その点、織田の人をみる目は確かであったとも言えますが。基本的に、余命を免罪符に使った感動ドラマは好みではありませんが、本作の主人公には大いに同情するところです。仕事は充実、妻との関係も良好、子供も良い子。さぞかし無念だったことでしょう。彼がある意味“狂った”のも無理からぬことと思えます。さて、織田裕二について。近年稀にみる陽キャラに違和感あり。『お金がない!』当時ならいざ知らず、ここ最近は、しかめっ面か、カッコつけばかりだったので、どうもあの笑顔が作り物に見えて仕方ありませんでした(実際そうなんですが)。単純にキャスティングミスでは。むしろ、原田泰造と役交換で良かった気がします。それにしても、織田のようなパーソナリティの放送作家って実在するのでしょうか。『水曜日のダウンタウン』『ゴッドタン』『クイズタレント名鑑』『浅草橋ヤング洋品店』私が好きなバラエティの放送作家さんの人間性は(多分)相当に酷そうです。もちろん、良い意味でクソ野郎じゃなきゃ、トガったバラエティはつくれないということですけれども。(ちなみにWカップ日本VSコロンビア戦、真裏の地上波放送を鑑賞。もちろんタイムシフトで)