1.《ネタバレ》 「なにが正義なのか」というのは確かに難しい問題で、世の中の凡そ大半のコトというのは、白黒を付けるのが想像よりも遥かに容易くないとも常々考えている。この映画の中でも、養護施設の維持の為とは言え犯罪を犯してもよいのか、とか、愛する人の命を奪った人間を殺すことが許されるのか、とかはそーいう類いの話だろう。そういった「灰色」の業を背負う主人公側の人々が幸せになり切れずに物語が終わってゆくコトには、ままならない世界の一種の儚さを感じるというか、ある程度の得心はゆく、と言い切っても間違いではないと感じている。
しかし、自動車会社の件は別だ。彼らには罰が下されるのが間違いなく正義だ。これでは、罪を犯しつつも反省する心を持つ善人だけが罰せられ、ハナから罪の意識など無い悪だけが世にのさばるという話ではないか。こーいう人間の世界に「絶望」した風を装う映画というのは、個人的にはハッキリ嫌いですね。映画自体の質・個々の演技等はかなり高水準だったので、この評価は全てテーマに対する個人の好みの問題です。