4.溝口カラーがダメというより、むしろ溝口時代劇がダメと言いたいところだが、『元禄忠臣蔵』は結構良かっただけに、この中途半端な出来は謎だ。
市川雷蔵と溝口健二のコラボが観られるのは貴重で、これはこれで嬉しい。
ただ、現代劇でのこのコラボが観られたら、もっと良かっただろうに、と思うと少々残念ではある。
重厚なつくりで、なかなか溝口作品らしい品格のある作品だ。
武士の台頭直前を描いた内容も分かりやすく、好感が持てる。
現存する溝口作品33本目の鑑賞となり、残りは遺作の『赤線地帯』を残すのみ。
溝口作品群はどれも個性的で、特に重厚なオープニングに、その個性を見出すことができる。
あと1本。
そう思うと、達成感と共に寂しさもつのる。