2.《ネタバレ》 箱根が資本競争に飲み込まれてしまう。その模様を描いており、シリアスなテーマでありながらも青春劇をミックスしていて、もう「製作者の意図」どおりに作ったと解ってしまいます。それでも、しっかりと楽しめる作品に仕上げる辺りは流石。
箱根も現在では「富裕層」「一般庶民層」に棲み分けされた感があるのですが、当時は、道路・レジャー施設の開発競争が盛んだったという雰囲気が映像でも良く解る。その、箱根開発競争を説明するナレーション(活弁士のような、中島そのみの声が◎)と、ライバル社のバスのチキンレース(箱根ターンバイクを二台のバスが並び競って上っていく)には爆笑。加山雄三の「さわやか出来る男」ぶり、忠義も重んじて気持ちの良いほどの好感振りが憎らしい(笑)そして、星由里子の清楚な印象。この二人は開発競争で汚れていく箱根の、本来の清々しさを象徴。脇を固める俳優陣が豪華で、森繁久弥と小沢栄太郎とのやり取り、旅館での東山千栄子と藤原釜足のやり取りはもう職人芸の域で、観ていて楽しい。森繁さんは何かやらないと気がすまないのでしょうね。