2.《ネタバレ》 近年の邦画ホラーは、『リング』『呪怨』等“呪い系”が流行しています。まずこの先入観にを利用されました。「親指さがしはサキの呪い」という一枚のFAX。一連の事件を呪いの仕業であると観客に思い込ませます。『リング』の電話にビデオテープ、『着信アリ』のケイタイのように、最近の幽霊は電子機器がお好き。FAXというチョイスは絶妙です。また文章にも配慮が感じられました。本来なら「お前たちを呪ってやる」と書きたいところ。でもそうは書けないから「親指さがしはサキの呪い」な訳です。少女が自分のことをサキと呼んでいるとも読めますし、第3者からの忠告とも受け取れます。情報は曖昧でOK。どうやら呪いっぽいと観客に感じさせれば十分です。後にFAXの送信者は明らかになりますが、“何故三宅のFAX番号を彼は知っていたのか?”という問題が発生しないのもお見事です。三宅の職業は番組制作会社のAD。彼の職場に様々な情報が集まるのは不自然ではありません。再三再四、「これは呪いではない」とする主張するキャラが出てくるのも、逆に“呪いは存在する”という方向へ観客を誘います。アイドル三宅のキャスティングにも意味がありました。「少女の呪い説」へ観客を見事にミスリード。ただ、残念ながら怖くないのです。三宅が目にする霊現象(妄想)はどれも抑え気味。ネタバレ後の三宅の狂気の演技には閉口しました。終盤にきて、大ブレーキがかかってしまったのは残念です。少女の死亡場所もどうにかならなかったものかと思います。でも『着信アリ』とか『着信アリ2』とか『着信アリFainal』みたいな、ビックリドッキリお化けホラーより、印象は悪くありません。