13.まあ、普通に楽しめましたが、同時に、この蜷川実花という女流監督の問題点も明らかになったという意味では、失敗作かもしれません。
“江戸東京・北の花町”としての吉原を描く上で、女流監督の限界を見た気さえします。
もちろん、吉原の女性社会的なある側面を、アートな感じで女性目線で描いたといえるのかもしれません。
しかし、女性目線で描いたといえば聞こえは良いですが、吉原のリアリズムを重視しているとはいえず、ただひたすらファッションやインテリア的な部分を楽しんでいるだけなのです。
つまり、調査に裏づけされたリアリティというものが欠如している。
やはり吉原という町は、殿方の町であって、男性目線で描くからこそ面白いし、そこに歴史的史実を踏まえたリアリティがあってこそ、素晴らしい作品に仕上がると私は思うわけであります。
蜷川実花監督と同時期に注目された西川美和という女流監督がいますが、西川美和監督の方は、女性の描き方がとても男性目線でエロティックです。
うまく女性の魅力を表現しています。
しかし、蜷川実花という女流監督は、女性雑誌のノリでしか女優の魅力を引き出せておらず、「女性が作った女性のための映画」という狭い範疇に納まってしまっているのです。
それと、主演の土屋アンナですが、個性的でかっこよさやキレもあり良い女優なんですが、どうみても花魁には向いていないですね。
しかも、控えめな演技の部分に未熟さがあります。
勢いのあるシーンは、ほんとナチュラルで良いんですけどね。
、、と書いて終わらせると、いかにも不満だらけかと思われそうですが、実は気に入った部分があります。
それは極彩色の映像美!
これは凄かった。
リアリティは思い切って捨てて、サイケで独創的な世界を創り出しています。
特に色使いが凄い。
これには驚嘆いたしました。
映像の作りかたに関しては、間違いなく天才的な監督さんですね。