1.《ネタバレ》 浅田次郎原作の邦画。130分は結構長かったですが、これでもかなり端折ってるものと思われます。
フィクションですが、史実を絡めたストーリーはよくできていると思いました。
浅田次郎は自衛隊経験者のせいか、戦後ありがちなおかしなステレオタイプの描き方ではなく、普通にひとりひとりの普通の心を持った人間として主要な3人の軍人を描き分けていました。
俳優陣は非常に良かったです。昔の東宝戦争映画なども見ている自分にとって、近年の軍人役の日本人俳優の演技は、どう見ても所作が帝国軍人に見えず、興ざめすることも多かったのですが、この映画は悪くなかったです。特に堺雅人は顔が笑ってるような感じなので、観る前はどうかな?と思ったのですが、普段も軍刀を吊って役作りをした、という彼の姿勢や歩き方はなかなかそれっぽくて、よかったです。ちびまる子、森迫永依も演技が上手ですからとても良かったのですが、スーちゃん役の土屋太鳳が綺麗で、存在感がありました。
後に続くものを信じて何かをする、というのは日本人の共同体への意識の重要な部分だと思いますが、果たして今の日本人はどの程度そういう意識を持ち得ているでしょうか。
特に近年のどこの国益を考えているのかわからないような政治家・マスコミ等をみていると、祖先が残してくれたメンタリティという遺産を、カネに目が眩んで戦後の平和のなかで食いつぶしてきただけなんじゃないか、とも思えます。
脈々と続く歴史の末端に今があるというのに。そういう昔の人々の思いを感じさせてくれる作品だったと思います。