1.《ネタバレ》 これがもう少し身体性を伴う競技ならばまた違うのだろうが、表情や仕草・佇まいの再現を重視した演技設計ゆえに松山・東出の両者共に
精巧な模写の印象が強くなってしまうのがつらいところである。
ならば対局シーンはそれに徹して、顔と手のアクションで通してくれれば良いのだが、そこに屋外の情景や白鳥の心理的なショットなどを
スローでインサートしてしまうのは、あまり効果的とは思えない。
新聞紙の上に切られた爪と髪の毛を見せてから、わざわざカメラを動かし手と頭まで証拠提示するような愚直でくどいショットもちらほら。
それでも窓外を静かに雪が舞う定食屋でテーブルを挟み語らう松山と東出の朴訥とした情感などは素晴らしい。
シーンの最後に、店外からのショットに引くリズムなどがほどよい緊張に満ちて胸に迫る。
筒井道隆、安田顕、柄本時生、リリー・フランキーらも味があっていい。