4.《ネタバレ》 主人公であるシスターの「相手役」となる男性が三人もいる為、やや忙しない印象を受ける本作。
そんな中、最もコミカルで情けない印象のあった神代が最後まで生き残り、オイシイところを持って行く辺りは、如何にもつかこうへいらしい作風だなと思えて、嬉しかったですね。
また、自分としては最初に画面に登場した晴彦が主役格になるだろうと予想していただけに、かなり早い段階(映画が始まって一時間ほど)で彼が死亡する展開にも吃驚でした。
ちょっと気になったのは、作中でシスターが賽の目を当てる才能を発揮する場面。
てっきり何かの伏線かなと思っていたのですが、終盤には全く出て来なかった為、何だか置いてけぼりな感じを受けたのですよね。
最初は「信仰心によって齎された超常的な力がある」と解釈していたのですが、今になって考えてみるに「父親も伝説的な侠客だった彼女には、極道の素質がある」という描写だったのでしょうか?
それならば、クライマックスにて敵対組織を壊滅させた強さにも一応納得なのですが、もう少し分かり易い形にしても良かったんじゃないかな、と。
終盤、教会を襲撃されて仲間達が次々に殺されていく展開は、迫力があり、ユーモアもあり、良かったですね。
敵がバズーカまで持ち出して、教会の中に撃ち込んだ際には、不謹慎ながらも「そこまでやるか!」と笑ってしまったくらい。
その一方で、復讐を訴える信徒が「父親殺し」の過去を告白するシーンは、非常にシリアスで、真に迫っていてと、演出の緩急が見事だったと思います。
とうとう刀を手にした主人公と、北大路欣也演じる英二との、雨の中での対話。
そして殴り込みをかけたシスターが
「悔い改めたい奴は、十字を切りやがれ!」
と啖呵を切る場面なんかも、忘れ難い味がありました。
神代が全ての罪を背負うという決着の付け方には
(本当に、それで良いの?)
とも思ってしまうのですが、この辺りは「男が好きな女の為に、恰好を付けてみせる」という、つかこうへいイズム、独特の美学ゆえの結末だから、文句を付ける方が野暮なのでしょうね。
そういった諸々の価値観も含め、主人公が女性であるにも関わらず、非常に男性的な映画であったように思えました。