1.《ネタバレ》 モンティ・パイソン製作の最大の問題作と言えば本作。もともとパイソンのくどい英国ギャグは日本ではウケがイマイチだったうえに宗教をテーマにしていたので大して話題にもならなかったけど、記録を見ると西欧では普通に公開できた国はほとんどなかったみたいです。でもよく観ると、この映画はキリスト教というよりも宗教自体が持っている狂信性や当時の党派性に執着した左翼陣営、そしてユダヤ人そのものに対する強烈な皮肉が感じられます。そもそも主人公ブライアンはイエス・キリストの隣家に生まれた別人で、チラッとですけどイエス自身が説教しているシーンもあるぐらいです。つまりブライアンはイエスが活動していた時期にいた全くの別人という設定ですが、キリスト教信者たちにはこういうシャレは通用しなかったわけです。まあこれはキリスト教だからこの程度で済んだわけで、これがイスラム教のマホメットだったらおそらくパイソンのメンバーは一人残らず暗殺されていたでしょうね(笑)。 割とパイソンは好きな自分ですが、この映画のギャグには胸やけがさせられたところが多かったです。マイケル・ペイリンの吃音というか滑舌の悪さが強調されるギャグは彼の得意芸ですが、宗教的とは違う意味でコンプライアンスにうるさい日本の地上波ではもう放映不可能でしょう。でもブライアンが苦し紛れにする説教(?)にはけっこう含蓄のあるセンテンスもあり、ここはさすがインテリ集団モンティ・パイソンと評価されるところでしょう。ラストで歌われる“Always Look on the Bright Side of Life”は名曲、今や英国人に愛されるポピュラーソングになっているそうで、フォークランド紛争で撃沈された駆逐艦シェフィールドの乗員たちが、救助を待つ間に歌って頑張ったという実話にはなんかほっこりさせられます。