2.貧しくても生きよう!何かにしがみつき、怯えながらも人間として生まれてきた以上は、どんなことだろうが、一つや二つの苦しみがあるのは当たり前、しかし、それと同じように幸せがあるんだというような何か強いメッセージを感じる作品になっている。この映画の主人公、和泉雅子演じる少女の眼から見た社会への不満も大人への不満も何かも全て全身でぶつけあうことで自分の気持ちを正直に伝えようというものが見られる。貧しくても他人からはおかしな眼で見られようが構わない。自分らしく必死に生きてみせるという少女の姿は人間らしさを感じる。話そのものは暗い。見ていても哀れなぐらいの二人の主人公若い男女の姿が描かれていて息苦しく思えてならないものの不幸であることよりも前向きに生きようという姿が描かれているので共感出来る。それにしても驚いたのが和泉雅子の演技の凄さ、同じ時代に生まれ、同じ時代に共演もしているもう一人の女優、吉永小百合の影に隠れ、これといった目立った作品、代表的ものに恵まれずにいたこの和泉雅子という女優の不幸、間違いなく演技の上手さでは吉永小百合よりも上である。何を演じても吉永小百合、何を演じても同じ嘘臭さしか漂わない吉永小百合とは大違いである。これは和泉雅子の代表作と言って良いと思うぐらいとにかく演技の上手さ、監督にさえもっと恵まれたらもっともっと素晴らしい映画に出逢えた筈だとこの作品の彼女の演技を見ていると思わずにはいられない。良い監督と沢山、出会えた吉永小百合、そうじゃない和泉雅子の何とも不幸なことといったらない。他にもこういう不幸な女優を出さないよう、日本映画界全体、考えるべきではないだろうか!