2.《ネタバレ》 主演の加藤大介氏が体験した戦時の実話を、当時の日本喜劇の名優の方々が総出で熱演しています。今となっては背景とか細かい事情とかも説明なしではわからない人も多いと思いますが、そうであっても俳優陣の演技のすばらしさ、戦場で皆ある意味黙々と死んでいったのだという感慨、それに少しでも希望と慰謝をという当時の演劇人達の思いが伝わってくる秀作だと思います。
映画中に使用される脚本の作者名で菊池寛とか長谷川伸とか出てきますが、かつてこの国の人々の心の中のスタンダードはこういうメンタリティであったのだなあと。そしてそれは江戸時代から続いてきたものであったけれども、敗戦や時の流れで今は失われつつあるものだなあとしみじみとしてしまいました。