1.《ネタバレ》 特ダネを必死に追い求める三橋達也演じる新聞記者を描いた鈴木英夫監督の映画。三橋達也演じる主人公が記事のためなら危険を冒してでもものにする、たとえやばいネタであっても記事のためなら何でもするというようなはみ出した男で、こういう新聞記者は実際にいそうで妙にリアルだなあと思っていたら、井手雅人の脚本は実在した新聞記者の手記をもとにしているとのことで納得。こういう一つのことに執着し、周りをよく見ない人物というのは三橋達也にはうってつけで、記事のために恋人(司葉子)にも平気でスパイをさせたりするようなダメ男を見事に演じていて、やっぱり三橋達也にはこういうだらしない男が似合うと改めて感じた。鈴木監督の演出もシャープで、冒頭の主人公と刑事のトイレでのやりとりや、水道から流れる水までもクールな感じがして印象に残る。最後の最後、事件の犯人を匿ったことがばれて逮捕されても、まだ諦めておらず、新聞社を首になったことも信じられない様子の主人公には呆れてしまうが、三橋達也が演じていると、まあしょうがないかとも思えてしまうのが不思議。まあ、同情や共感は出来ないけど。全体的にもう少しサスペンスとしての緊張感が欲しかったような気がしないでもないが、なかなか面白い映画だった。