1.ワタクシごときがエラソーに言うのもナンだけど、この映画は成功作とは言い難いかも、しれない。とても壮大・シリアスな内容を、いわゆる任侠モノの形(90分程度の上映時間でラストは殴り込み、というパターン)に収めるのは無理があるし、その分台詞が説明的になっていてちょっとダサい(ダサいと言えば冒頭の「この映画は…<中略>…世界中の人間が互いに愛し合い信じあえる日を信じて作られたドラマである」という字幕も、そーとーキッツい。気持ちは分かるが)。のだが、敗戦直後の日本人と三国人(←石原慎ちゃんが好んで使うけど、つまりその頃、無法な在日をそう呼んでたんだな。差別的・侮蔑的なニュアンスを持ってしまっているから、今はあんま使わない方が良いと思う)の対立を軸に人間の善と悪、被害者と加害者という立場が時にダイナミックに反転する様を生々しく描いたこの作品には、えも言われぬ迫力がある。何と言うか加藤泰の、人間の弱さに対する怒り、憎しみや立場を捨てられない事への怒り、と悲しみが伝わってきて「日本人とか三国人とかナントカ人とか、関係ねぇ!同じ人間じゃねぇか畜生ォ!」という声が聞こえてきそうな、ある意味「パッチギ!」以上にパッチギ的な作品。出来れば「パッチギ!」に感動した人にも、或いは嫌悪感を持った人にも、観て欲しい。