4.昭和のガメラというのは、SFにメロドラマはいらぬというドラマ軽視主義と、
あえて作り込まない人形劇のようなファニーな特撮、という思想によって
形作られていて、それが自分には合っていたのだけども、
この映画は、子供向けを意識している、子供がストーリー上重要な位置にいるという
昭和ガメラの特徴だったものを再び取り入れつつも、
ストーリーは現代的にドラマを演出し、特撮は平成ガメラ基準のリアルなものになっていて、
現代に生を受けたガメラの新作としては、無難で妥当な作りになっているのではないかと思う。
しかし昭和ガメラファンの立場からすれば、「こんなんガメラじゃねぇ」と内心思う部分もないでもない。
映像は子供向けと侮れないもので、怪獣バトルや街破壊は現代基準のリアルタッチで描かれ、
平成シリーズに並ぶクオリティーを備えている。
しかしこれまた現代的な感傷的なドラマ、感動させようという演出にはイラッとさせられて、
これが「真に観たかったガメラ」だとは言いがたいものがあった。
とりあえず、ガメラが足を出したままで浮いている描写は問題だと思う。