24.《ネタバレ》 前半は、貨物船における、船長VS海賊の心理戦と、船員VS海賊の必死の攻防で、ダブルの面白さ。
後半は、貨物船パートが終わり、救命艇パート。
ここでは船長VS海賊の心理戦に、新しくアメリカ海軍VS海賊との心理戦という構図も加わり、それもまた見ごたえあり。
海賊は4名いて、このそれぞれのキャラはノンフィクションじゃなくて、たぶん映画としての面白さを作るためにフィクションなところ(性格や年齢)があると思う。
落ち着きがあるボス、やたらとキレる横暴な男、気弱な少年、なんとなくいる存在感が石な男。
この4人の個性があるから、最後まで面白く見られたというのもある。
そしてアメリカ映画らしく
「アメリカは強いんだぞ!アメリカってみんなの憧れなんだぞ!」
っていう、アメリカ礼賛映画になってるあたりもアメリカらしくて、清々しい笑
海賊のボスは、「アメリカに住んで、車が買いたいんだ」なんてポロっと言ったりして
アメリカへの憧れを口にする場面とか笑
アメリカ海軍の人質救出作戦の技術も存分に披露されて、アメリカ海軍天下無敵感いっぱいで、ビバ!アメリカ!っていうノリがまた心地いい笑
それにしても勉強になった。
ソマリアの海賊って、
「海賊やって一儲けしようぜ!」
って意見の合った仲間がつるんでやるものではないのですね。
貧しい漁師の村の漁師たちが、みかじめ料として変なおっさんたちに脅されて仕方なく行かされている。
そして、気の合ったもの同士で組んで計画的に行くのではなく
日本でいえば、ホームレスたちを働かせる労働場所へ向かうバス(それが海賊船に該当)があって、
そこに乗せる人員をつのる場所に来た日雇い労働者の顔とか適当に見て責任者が
「じゃぁ、君と、君と…あとソコにいる君…」
って、めちゃめちゃテキトーに選んでバスに乗せちゃうノリと同じ。
そして必死で金を盗んできても、漁師たちにはお金は入らず
全部みかじめ料としてもっていかれちゃう。
この現実は知りませんでした。
漁師たちはかわいそうなんだ。
救命艇の中では、先ほども書いたように「アメリカに行って車を買いたい」発言もしていたし
それに、海賊のボスは、フィリップス船長が当初渡した現金だけじゃ足りないと言って、もっとお金を取るためにフィリップス船長を身代金のために人質にしたわけだけれど
海軍に追い詰められて困っていた海賊のボスに、船長が「欲を出さなければ、おおごとにならなかったのにね」と言うと
「ボスがいるから仕方ない」
って言っていたのも心に刺さった。
映画冒頭で、漁師たちが、みかじめ料を取るおっさんたちに
「先週海賊やったばかりだから、行かなくてもいいだろ」的な発言をすると
「ボスはもっと金がいるんだ!」
と怒鳴りつける。
海賊のボスの上に、みかじめ料をとる中ボス、そのみかじめ料をとるボスも、またその上に、みかじめ料とってこいって怒鳴る大ボス…
ボスボスボス…本当に、その末端の人間が結局つらい思いをする構図だ。
面白いのは、この時そのセリフを聴いたフィリップスが
「誰にもボスはいる」
と言ったセリフ。
そう、丸腰で、危ない海域を行かせて、輸送費削減とスピード配送最優先を命じるボスの下にある立場ゆえに
こんな災難に巻き込まれたわけだから、そうボヤキたくもなるでしょう。
悪いのは、海賊じゃない。
いろんな意味で感慨深い映画だった。
現在服役中の海賊のボスは、服役のあとは心を入れ替えて、アメリカに移民として暮らせて、車が買えるといいね。