1.《ネタバレ》 主人公だとわかるまでしばらくかかる主人公、どこかで観たような…と思ったら、ついこのあいだ観たトゥモローウォーに出てらっしゃいました。
といっても普通の家庭の主婦役で、こちらとはだいぶ雰囲気違うんですが。
さてこの映画、よくある人間狩り映画かと思いきや、社会風刺がばりばりです。
トランプ政権時代のアメリカの分断やら頭の悪い陰謀論から着想を得てるのは明らかで、実際にトランプや一部保守層がこの映画について「リベラルが我々を虐殺する映画だ!」と騒いだとか聞きます。
しかしちょっとお待ちください、映画を観ればわかる通り、カリカチュアライズされてひどい描かれ方をしてるのはむしろリベラル層の方。
そんな事もわからずリベラルが保守を攻撃する映画だ!なんて怒るトランプとその一派はほんと頭悪いな…と思ったりしちゃうわけですが…
この映画の風刺面においては「底が浅い」「ひねりがない」という批判もあるようですが、そもそもこの映画における風刺要素は新聞の風刺漫画レベルにカリカチュアライズされたスパイス的なものにすぎないと思うのです。
そこを真剣に批判するのはちょっと違うんじゃないかな…と個人的には思います。
(そもそもそこを真剣に描くならこんな馬鹿映画じゃ無理なんじゃないかと…)
一方、娯楽系人間狩り映画としては、誰が主人公なのかすらなかなかわからない序盤はめちゃくちゃ面白いです。いやほんと。
映画の方向性も主人公もわからず「これむちゃくちゃ面白いんじゃね?」と僕の期待はマックスでした。
しかし列車に乗るあたりからでしょうか、だんだんと方向性が見えてきて…というか予想外の謎のヒーロー物に変わってしまって「ん、いやなんか期待してた展開と違うぞ…」となってからはめっきりテンションダウンしてしまいました。
もちろん後半は後半でそれなりに面白いですし例えばラストのCAにキャビアの事を聞くシーンが映画冒頭のシーンを受けてだったりと凝った造りなわけですが、しかし個人的には序盤からの流れのまま無力な主人公が必死に知恵を使ってサバイバルし逆転する…そういう流れがよかったな…と思ってしまうので残念ながら少し減点。
(まぁそれって身勝手な期待なわけですけど)
もうほんのちょっとでも褒める要素があれば(エロとか笑)8点にできたのに…面白いのにちょっと残念。
そんな映画です。