1.《ネタバレ》 今村昌平作品にしては、性描写が全くない。
これにまず驚き。
しかし、今村監督ならではの“泥くさい描写”は健在である。
田舎町の泥臭さをストレートに映像に焼き付けている。
「にあんちゃん」が貧しくて厳しい環境ながら、未来に希望をもって敢然と山を登るラストシーン。
これは北野武監督作品『キッズ・リターン』のラストシーンを思わせる素晴らしいシーンである。
どんな苦しい環境においても、「希望」を持ってさえいれば、人生が「終わった」ということにはならない。
苦境に立たされても、熱い「希望」を決して捨ててはならない。
「希望」を持つことこそが、生きる上で非常に大切であり、生きる喜びの源泉となり得ることを、本作は雄弁に物語っている。
力をもらえる、心に残る良作であった。