2.《ネタバレ》 男から見れば女の扱いにくさ、ちょっと誤解があるとガス管くわえてたりする。女から見れば男の頼りなさ。こういった互いの欠点が、でもつまり愛のニュアンスなわけで、人の世の“味わい”というものも実に複雑であります。蝶子だって本妻が死んだときは義理を感ずるが、すぐその後でお礼参りに行ったりする。スカタンならスカタンなりにすべてを放擲すればいいのに、けっこう船場の実家に執着する(なるほど本当のスカタンはこうでなくちゃならないのだな)。こういうどっちつかずの曖昧にダラダラした気分を繊細に描き込むってのは、日本の映画だけが成し得た境地ではないだろうか。これ原作も読んでみたが、原作のほうはもっとサッパリした味になっていて、それもまた別の感触の傑作だった。蝶子の実家の親父、総菜屋がいい。