1.《ネタバレ》 喧嘩し、罵りあいながらも愛し合う二人の男女。
幾たびも、別れそうになるが、そこは運命のつながりか、地獄の果てまで二人一緒。
地獄の逃避行とも言えよう。
最後は一緒に死ぬという、これしかない終わらせ方だが、そこに持っていくまでの見せ方が巧い。
特に、終盤の砂漠を彷徨うシーンが素晴らしい。
そして怖い。
アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが創る映画の凄さと面白さが、まさにこの砂漠のシーンに凝縮されている。
愛する人が銃に撃たれて、砂漠で死に、亡骸を運んでいるうちに、徐々に腐り始め、愛する女性が醜くなっていく。
それで仕方なしに砂の中に埋める。
顔だけには砂をかけずに。
なんと哀しく、そして美しいシーンなんだろう。
愛する男女の破滅的逃避行を描いた傑作サスペンスで、この時代のフランスにしか創れないであろう作品。