2.《ネタバレ》 これは成瀬作品としては比較的、異端の部類に入るのではないか。
最後は「離婚」という形で終わる。
これが珍しい。
なんやかんや言って、夫婦や男女というものは、おとなしく納まるっていうのが、成瀬作品の大半を占めている中で、これは珍しい。
しかも、未来に希望をつなぐ形、つまりは発展的な意味合いで離婚というものをラストに持ってきている。
本作には、それほど魅力的な登場人物が出てこない。
しかし、逆に言えば、人間臭い矛盾と弱さに充ちた登場人物たちばかりなのだ。
現実の世の中は綺麗ごとばかりじゃないし、裏と表の顔を、人間なら誰しも持っている。
そういった意味では、人間の本質を鋭く捉えた作品だといえよう。