7.《ネタバレ》 怖い!!この映画は怖い!コメディと言うよりホラーな気がします。
まずジム・キャリーの何時ものオーバーアクトが笑えるどころか逆に恐ろしい。どこからどう見ても頭のネジが全部すっ飛んで脳味噌どっか行っちゃった位のイカレ野郎。そんな奴が悪意では無く善意で迫ってくるのだから普通のホラー映画では味わえない怖さがあります。「友達になってよ」という善意の一言がここまで恐ろしい言葉に思えるとは……。なんかスティーヴン・キングの『ミザリー』を思い出しました。
この映画は冷静に私たち(映画ファン)を分析している映画でもあると思います。ケーブル・ガイはテレビや映画のことしか頭に無い。なんでも映画に結びつけて考える根っからのメディア中毒人間。そんな彼のたった一つの願望は"友達が欲しい"こと。これはどう考えても彼のコミュニケーションの仕方の問題でもあって、劇中でもスティーヴンに忠告されます。でも彼は度の過ぎたプレゼントや明らかに違法な方法、捻じ曲がった愛情表現でそれを成し遂げようとする。テレビや映画に縛られて本当のコミュニケーションを忘れてしまう恐怖を観客に提示している映画なのだと思います。ここら辺、監督のベン・スティラーは映画の作り手サイドなのに本当に鋭い視点を備えているなぁと思います。
ただ要所要所のコメディならではの適当さもあるのが難点とも言えます。特にラストの電波塔での戦いの場面ですが、ロビンと態々親密な関係を築いたにも関わらずその関係をあっという間に崩壊させる理由がありません。しかもスティーヴンがケーブル・ガイに逆転する方法も取ってつけたようなもので、かなり納得し辛い展開でした。