1.スピーディな展開。前半は吉岡一門との死闘が中心に描かれ、後半の最初には、その後の戦いのダイジェスト(宇宙戦艦ヤマト劇場版の中盤みたいな感じで、さすがに端折り過ぎ)、そして後半のメインは小次郎との対決。武蔵映画として、オイシイところは一通り押さえた構成となっております。特に巌流島の対決、クライマックスを飾る晴れやかな対決という描かれ方ではなく、雨の中での薄暗い情念のたぎるような戦いとして描かれているのが注目されます。劇中、何度か登場する、半分水中からの(正直よくワカラン)アングルの映像と、その集大成のような、雨の中の決闘。また本作、宮本武蔵を主人公とした映画というより、武蔵に関わった人々の群像劇みたいな作りになっています。武蔵に関わった人々は皆、不幸になっていく。いや不幸ではなくとも、人生を狂わされていく。いや、狂わされた人もいるけれど(オババ怖過ぎ)、皆が皆、ただ狂わされたとも言えない。クライマックスに向けて彼らが武蔵の元へと吸い寄せられるように集まってくるのが良いですね。運命的でもあり、また自らの力で歩もうとしている姿でもあり。高橋英樹はあくまで看板であって、本作に主人公がいるならば、それはフランキー堺だと思います。