6.映画的な面白さに満ちた、ユーモアとペーソスあふれる傑作。
バブルが弾けた後の、90年代前半に作られたというのも興味深い。
岸谷五朗は相変わらず良い役者ぶりだ。
もう少し尖った役が彼に最も合っているような気もするが、本作での彼が演じた主人公も、どこか憎めない人間くささがあって、これはこれで良い。
ただし、もう少し尺が短めの方が、更に余韻が残った気がする。
全体的にメリハリがなく、淡々と進みすぎなのがたまにきずだが、それでも最後まで楽しむことができた。
終り方も素晴らしい。
「どんな苦境に追い込まれても、人生何とかなるもんさ!」
そんなメッセージが聞こえてくる様なラストだ。
「大したことないさ!」
ラストで岸谷五朗が小木茂光にそう言う。
これは、北野武の『キッズリターン』のラストシーンを彷彿とさせる。
人生は苦難の連続かもしれないが、どんなに沈んでも、こういう気概をもって生きていきたいものだ。
そういう元気をくれる作品という意味でも、本作を高く評価したい。