115.《ネタバレ》 消費社会に警鐘を鳴らした世紀末より問題が深刻になっているからこそ、作品の先見性に驚かされる。あれから20年、消費社会が深化してデジタル消費社会になり、マイノリティの発言力が大きくなり、多様性の広がる世界になったと思いきや、閉塞感に覆われる矛盾。どう見られているかという管理社会になったことで、"去勢された"男性はより無気力になり社会の隅に追いやられる。そう、何も持っていない男が理想の自分(男性性の象徴)に囚われ、痛みという通過儀礼によって現実を受け入れ、アイデンティティを獲得するまでの映画なのだから。欺瞞の社会に疑問を持たなくて良いのか。己を騙して生きていないか。理念は立派であるが折り合いをつけられず、そこを拗らせてしまうと、ポピュリズムの台頭を許すことになる。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-02-19 23:58:44) |
114.《ネタバレ》 現代を舞台にしたマッド・マックス的なものを感じた。二重人格だったと判明するまでの内容は9点。 でもオチにリアリティが無くて、ちょっと残念だった。裏人格になった時に あそこまでの統率力・計画性を持てるものなのか かなり疑問。そして片方の人格は もう一方を認識できないと思うので、二人が会話してしまうことに違和感が大きい。観客を驚かせようという意図が先走ってしまっていて、禁じ手的なミスリーディング脚本になっていると思われるのが惜しい。「セブン」での成功体験がそうさせてしまったのかな? 他の映画にはあるけど、人格が切り替わるタイミングで片方を映さないようにして 破綻のない描写にすべきだったと思う。それか 二重人格設定を隠し続けて 最後にかすかに匂わせるぐらいにする。 あるいはいっそのこと別人のままという設定にして、ブラピは突然姿を消し、ノートンのその後を描く。 全てがノートンの見た幻覚だったという設定もありえるが、それはいわゆる夢オチで つまらない。 厳しいコメントになってしまったが、それ以外の内容・雰囲気がとても良かったからこその指摘。少し設定が変わっていれば、9点クラスだと思う。 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-24 21:49:11) |
113.《ネタバレ》 傑作。キートンを彷彿とさせるコメディーです。 裸になって、殴り合い、九死に一生を得た末に、これでやっと変われるという言葉は中々に響ました。うんうんと頷きながら、俺は変われないなと絶望するのです。 【うー】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-09-28 13:06:26) |
【la_spagna】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-08-31 09:52:07) |
111.《ネタバレ》 この頃のデビッド・フィンチャーの世界観には痺れますね。提示されるもの全てに酔いしれてしまいそうです。とはいっても、初見時はよく理解できない作品でありました。なんじゃこりゃ、と思ったのです。何度も見なおしているうちに、男性性を得ようとするばかりに暴走した男の悲劇であることが理解できてきて、ようやく作品を楽しむことができるようになりました。 男は金と女だ!という核心を突きまくった言葉がありますが、ノートンちゃんは死の女神たるマーラに惚れ、職を捨てるどころかこの世から金という概念そのものを消し去ろうとしました。消費社会、資本主義なんて一人の女を愛するためなら捨てたっていい!という潜在意識がタイラーとなり、具現化したと考えています。女が金を殺したのです。ある意味純愛です。これほど深い愛の話はないですね。 映画の捉え方は人それぞれだから、こういう考えもあっていいんじゃないかと思って書きました。それにしても、主役の3人はコレでもかというくらいに輝いてますね。特にブラピ。史上最高のブラッド・ピットでしょう。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-09-13 02:30:23) |
110.《ネタバレ》 あえて、あらすじとか一切見ずに、ファイト・クラブという名前だけで観始めた。このくたびれた主人公が、フィジカルでなにかつかみ、大きくなるのかとおもったら、精神系のものになっていて、タイラーを追い出した頃には分かってきたけど、なかなかよかった。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-09-05 21:32:39) |
109.とても笑える、ユニークな作品です。ペンギンが「すべって」だって(笑)。カットとカットの間にチラっと出てくるブラピ?も面白い。昔の映画ならシーンの切り替えがわかったな。小さいころ「あの黒いのなんだろう」って思ってた。飛行機の不時着時の案内の人の顔は確かに落ち着いている。あの石鹸は・・・使いたくないです。 【新しい生物】さん [DVD(吹替)] 8点(2013-08-08 16:07:13) |
108.《ネタバレ》 まさかビューティフルマインドオチとは!!ブルーレイで見たので、ラストのチ○コもバッチシ写ってましたね。これが日本でモザ無しって事は、絶対に作り物って事ですよね。 デビッドフィンチャーという監督の作品を見るのはこれが初めてでしたが、ちょっとエエ格好してる感じが、あくまで僕個人にとっては好みではなかったですね。何か2010年の邦画の「告白」を見た時と同じような、何か全体的に鼻につくなあって感じの演出でしたね。 小綺麗で洗練されてる感じで、「ホラホラ、これカッコよろしいでっしゃろ?ねえねえ?」って自信満々に勧めて来られてる感じですね。それが若干うざく感じました。(何でこう穿った見方をしてしまうのか、そんな自分も面倒くさくてイヤになるのですが…) ただ、この映画の伝えたい事には非常に共感できましたし、いろいろ仕掛けも満載なので、見れば見る度に新たな発見が生まれるタイプの、作りこまれた映画だとは思います。 ちょっと演出が肌に合わなかったのは残念でしたが、何回見ても楽しめるタイプの映画は好きなので、甘めの8点でフィニッシュです。 |
107.「セブン」はあんまり好きじゃなかったけど、これはかなり面白かった。こーいうテンポで圧倒される映画の感想を書くだけの文章力がなくて、魅力を書けないのが悲しいところ。。 【amier】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-12-26 15:04:13) |
106.ここまで漢臭く、かっこいい映画があったなんて。ブラピのかっこよさ、ジャケットのキマり具合が最高。ノートンも見事にいかれてるし、ヘレナボナムカーターの表現力が印象的。 ラストのどんでん返しも素晴らしい。これこそ最高のフィンチャー作品でしょう。 【バトルコサック】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-05-29 08:46:55) |
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105.《ネタバレ》 ブラッド・ピットとエドワード・ノートン、最高の競演ですね。 ちょっとわかりづらいストーリーですが、んなこたぁ関係なし! 撮り方もキレイにキタナくて最高です! と、初見から数回、観る機会がある度、観いってしまう作品。 不眠症からサークル活動、ファイトクラブを経てテロリスト。モノに縛られる生活から抜け出し、イケスカナイ上司に悪態をつけるヤサグレ具合になったあたりは痛快だったけど、分裂してテロリストってのはブッ飛んでましたね。 【ろにまさ】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-11-11 01:59:30) |
104.《ネタバレ》 面白い。スゲエ面白い。 実は喧嘩を見に来たんじゃなくて、いかれた男に心酔したカルト集団だったっていうプロットが、全く関係ないストーリーで進んでいくのに破綻してないし(してるのかもしれないけど観てる間は気づかない)。 こういう悪意満載な映画は大好きだ。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-09-25 01:52:37) |
103.《ネタバレ》 斬新な切り口でグイグイ引き込まれました テンポのいい進行が小気味よく、笑えるポイントや「おぉっ!」となるところも多く …行く先々にファイトクラブのメンバーがいるところとか… 面白かったですよ この独特のブットビ感 ブラピのキャラクターもピッタリ! 強いて言えば相方のキャラがひ弱な感じがして ちょっとそんなところが気になったけど なかなか良かったデス! 【Kaname】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2011-06-19 21:59:59) |
102.エドワードノートン、ブラッドピット、この二人とにかくカッコいい。もうオチを知っているから初見の時のようには燃えない(萌えない?)が、それでも何年かに一回は観たくなってくる。 |
101.《ネタバレ》 公開から10年も経てば、この映画のネタバレも知ってるワケで…。な~んて心配もいらないぐらい面白かったので無問題!サブリミナルの確認のつもりで何度も見返せば、そのたびに新しい発見もあり!その味わいはまさにスルメを噛むが如し…。 最初は「スゲー嫌な女」にしか見えないマーラが、ラストシーンでは抱きしめたくなるほどキュートに見えてきます。そして見返せば見返すほどに「あの結末」には泣けてくるのです…(あの終末感と音楽の相乗効果の中、二人がしっかり手を繋ぐ姿に涙腺がピンチ!)。 …とか書いちゃいましたが、基本的にこの映画が『オトコ汁ムンムン映画』なのは、これはもう間違いないワケです(笑)。そしてブラピの「ブルース・リー」は、『マトリックス』でのキアヌのそれを遥かに上回っていて、怪鳥音もヌンチャクポーズも、抱かれたいぐらいに最高なのでありますッ!!アチャーッ!!! 【幻覚@蛇プニョ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-09-03 15:43:28) |
100.《ネタバレ》 ジョンの脳内影像から始まり、サブリミナルの勃起した男性器画像で終る。全てはジョンの想像の産物で、登場人物は全て彼の自己投影された人格であり、一種の自慰行為に過ぎないという解釈も成り立つ。そうすれば、タイラーとの殴り合いシーン、爆発物作成方法を知るタイラー、忠誠すぎる会員、知らないうちに全国展開するクラブ、警察まで浸透する会員、頭を撃っても生きている、などの矛盾点が説明できる。多重人格者の夢というのは案外こういうものかも知れない。ジョンはしがないサラリーマン。現実の自分と、理想の自分との間に大きなギャップを感じて、慢性的な睡眠不足。その解消に役立ったのが不幸な人たちの”泣くセラピー”クラブ。泣いて感情が発散できるのだ。彼の悩みは本能が去勢されていること。性欲、睡眠欲、闘争心などが開放できない。それの象徴が”睾丸無し”クラブ。現代社会の縮図でもある。本能をまぎらわすための”高級家具買い”も限界に来ていた。泣くことで、束の間の安らぎを得たが、そこへマーラ登場。彼女は彼を現実に引き戻す役割の人格。いつも”異物”のように侵入してくる。そしてタイラーの登場。理想的な自分の投影された人格。病的にまで分裂する自己の始まり。タイラーはジョンの快適な物質文明の象徴である”高級家具の部屋”を爆破。朽ちる寸前の家で共同生活を始める。この家はジョンのぼろぼろになった精神の象徴。マーラを無視しつつも、タイラーとファイトクラブを設立。闘争心は現代人には最も発揮しにくい本能。それが人気を呼び、多くの会員が集まる。だが本能を開放しすぎたためにタイラーが暴走。クラブは物質文明反対のテロ組織の様相を呈してくる。彼らの無謀な計画を阻止するために自分との闘いが始まる。殴るだけではダメで、終に拳銃で頭を撃ちぬく決意を。全ては幻覚だと悟り自分と向き合った瞬間だ。登場したマーラの存在意義を認め、和解できたことで、彼は現実の世界に戻ることができ、自己アイデンティティーを取り戻した。崩壊するビルは、彼の仮想現実、多重人格世界の崩壊。物質社会、消費社会の価値観に洗脳されている現代人が、不安や悩みを抱えながら、本来の自分を取り戻すのがいかに困難かを描いた意欲作。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-10-24 13:50:18) (良:1票) |
99.ディック&村上龍の世界観を感じる。ドラッグムービー。らりって洗脳されてる感じがたまらない。 【わさび】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-10-05 00:59:54) (良:1票) |
98.《ネタバレ》 "生"の実感がわかないというのは、現代日本人にとっては結構深刻なもので、至るところで噴出している問題だと思う。情報化社会によって人間関係が希薄になり、平和ボケした日本だと尚更。とかく日本は死を隠しすぎ、性を隠しすぎ、痛みを隠しすぎ、快楽を隠しすぎだと思う。そういうことを隠すことが先進国であるという社会になってしまっているから仕方ないが。それらを隠す傾向が続くと"生"の実感がわかない人間が増えるのは至極当然のことなのかもしれない。自分が存在しているという実感がわかないと魂と肉体が分離をはじめて上辷りし、あらゆることに鈍感になる。頭ばかりで考え悩みばかりが増える。そして精神を病む。リスカ症候群、セックス依存、ブランド依存、自殺、いじめ、猟奇的殺人事件、先進国で起こるこれらの問題って、突き詰めていけばこの辺りに辿りつくんじゃないかと思ってしまう。ところで、この映画は、どうにもラストが消化不良。あのシーンの後まで見たかった。自分がいるビルの爆破くらいまでやってくれれば、個人的評価が上がったに違いない。もちろんその為には、マーラをどうするかという問題が残るが。いっそのことマーラを幻覚としてはっきり描いてたのなら、傑作と思ったのかもしれない。自分の心を自分で攻撃する暴力性が、段々と外に向かっていき破壊衝動に繋がる。しかし破壊衝動は外に向かいだすと忽ち自己を破壊してしまう。タイラーと"ノートン"とマーラというキャラは、自己の理想、死への欲動、生への欲動を、それぞれ象徴的に分配したのだと思う。その絡み具合が巧みで、自分の肉体と精神を繋ぎとめていく過程を、斬新な形で纏め上げた手腕は見事。 【Nujabest】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-22 21:35:43) (良:2票) |
97.シリアスに観るより、スピード感や雰囲気で観る、ロックな映画ですね。 洒落の効いた台詞回し、サブリミナルなどデヴィッド・フィンチャーがやりたい事やりまくってる感じ。 何よりラストのピクシーズと映像のカタルシス! そしてタイラーからのサイテーなプレゼント。 素敵です。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-07-11 00:41:11) |
96.《ネタバレ》 ■どうも気分が晴れないときに観てしまったので、益々落ち込んだ。が、これは傑作だ。■暴力描写や『エンゼル・ハート』オチ、文明批判などは、本作の本質ではない。間違いなく自己快復がテーマである。主人公の煩悶の質は決して分かりやすいものではないだけに却ってリアルで、それが快復へと向かうための壮絶なプロセス、生みの苦しみを、2時間以上延々と見せられるのだから、そりゃ気が滅入る。■『マルホランド・ドライブ』や『ブレードランナー』のように、解釈すべき表象に満ちている映画でもある。タイラーはもちろん、マーラですら主人公の精神の副産物かもしれない。いや、一応は実在的な存在と読めるのだけれど、主人公が自己を再構成するに当たって必然的な存在である点が、どうも怪しいという気もする。最後がサブリミナルで終わったり、ノートンとピットがカメラ目線であるようなメタ構造があったりするところも勘案すると、究極的には『エンゼル・ハート』オチではなく、夢オチなんじゃないか、とか。そんなことも含めて、解釈の可能性はいろいろとありそうだ。■そもそもその手の映画は成功させることは難しい。よっぽど監督に技量が無いと無理である。さもないと、仕様もない表象遊びが見え見えの厭味な作品にしかならないに決まってる。フィンチャー監督は、先に挙げた2作の、デヴィッド・リンチ、リドリー・スコットに比肩する仕事を成し遂げたといえよう。 【麦酒男爵】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-03-13 00:57:50) (良:1票) |