1.古くて長い映画というと、たいてい途中で飽きるか、登場人物がいろいろ出てきてわけがわからなくなる場合が多々。しかもこの邦題では、どういう映画なのかさっぱりわかりません。しかし、これは傑作。冒頭の教養ドキュメンタリー番組のようなミケランジェロの紹介からも、意気込みが伝わってきます。
基本的な登場人物は2人しかいません。「いつできる?」「完成したときだ」に象徴されるやりとりが魅力的。お金をめぐる問答や、解雇だの任命だのを繰り返す経緯はほとんどコメディです。それでも「壮大な芸術品を生み出したい」という情熱だけは一致しているわけで、そのあたりの描き方がすばらしい。ラストの教皇の去る姿が、強烈な余韻を残します。
もっとも、大権威であるはずの教皇がやたらとフレンドリーなのは、いかにもアメリカ映画という感じですね。