《改行表示》62.《ネタバレ》 このレビュー書くまでタイトル読めなかったす。“3-4X”が野球のスコアだそうで、雅樹が代打ヒットを打った試合のスコアがコレ(※劇中のボードには3-4とは書いてない)みたい。10月は、当初10月公開予定が9月に前倒しになった。とのことらしいが…? 北野監督作品の第2作。日常の中の暴力。どんどん壊れていく歯車。東京の日常と、沖縄の非日常の描写が美しく、いかにも北野監督らしい持ち味が充分に発揮されていて、やっぱり才能のある人なんだなと感じさせてくれました。 本作の目玉は、俳優としては素人同然のたけし軍団をメインキャストに据えていることだと思います。更に掘り下げると、たけしもこの当時、映画監督業や、世界まる見えや平成教育委員会のような教養番組の司会業兼お笑いにシフトしていた時代、たけし軍団の人数を活かした、ドタバタした笑いに限界を感じていたんでしょうか。本作はたけし軍団の“解散記念作品”として制作されたそうです。 そもそも軍団は最初の弟子8人(+結成後の2人を入れた10人)が、元祖たけし軍団と呼ばれているようです。この人数なのは、たけしが『野球チームを作りたかったから』というのもあったようで、映画のイーグルスはたけし軍団を表していたんでしょう。レギュラー9人に、代打の雅樹を入れると、ちょうど10人。監督役のガダルカナル・タカがたけしの役で、ぴったりたけしと元祖軍団になってます。 沖縄に行く前の最後の試合は、代打含めた全員野球で、結局は3-4で、惜しいけど負けてしまいます。この“惜しいけど負けた”というのが、軍団の最終評価、解散の理由としたんでしょうね。 じゃあ、タイトルの10月ってなんでしょう?映画の公開が後送りになるのは解るけど、前倒しになるなんて、あるんでしょうか?私は、最初から9月公開は決まっていて、10月=解散した軍団のその後を表していたんだと思っています。 最後、殿…じゃなかったタカの敵を打とうと軍団がヤクザ事務所を襲います。返り討ちにあっても、タンクローリーで特攻します。この辺ちょっと、フライデー襲撃と被りますね。でもそれは夢オチということになってます。何もなく野球を続ける軍団たちで終わります。この夢オチというのも、最後の特攻バッドエンドが、前作“その男…”の最後、全滅バッドエンドと被ってしまったのと、結局軍団は解散しなかったことに繋がるんだと思いました。 解散記念映画を創って、10月からは軍団を離れて、各自華やかに自分の才能を開花させろよ?みたいに〆ようとしたけど、軍団はまだまだピンとしては実力不足。10月に入った後も、今まで通りの殿と軍団の関係が続いていく。…なんか、「前倒しになって9月公開になった」って理由は、格好つけようとして格好がつかなかった、たけしの照れ臭さがあるんじゃないかなって思ってしまいました。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 7点(2024-09-15 16:17:15) |
61.北野武の映画の魅力とは何かといいますとやれ暴力描写だやれキタノブルーだの語られるわけですが何も小難しいことを言う必要はありません、役者の演技が既存の映画の定型から外れていることでリアルで見えるという点に尽きると思います。セックスの時って意外と冷静じゃない?暴力を振るわれるとまともに受け応えできなくなるよなあ、作り物とは違い現実はこうである、そう思わせる信憑性があります。暴力描写は確かにインパクトがありますが、その上っ面だけ真似たような映画はくだらないものにしかならないでしょう、まず演技のリアリティありきなのです。この映画のテーマはシンプルに言い表すことができます。人生とはルールもわからないままやらされる野球のようなもの、ということです。なんでかわからないけど彼女ができた、なんでかわからないけどヤクザに因縁をつけられた、動機も原因もよくわからないまま勝手に世界は進行していってしまう。ストーリーがわからないという感想はまさに我々の生きている現実に抱くものと同じなのです。 |
60.《ネタバレ》 北野武、監督第二作目にしてやりたいことを全部ぶち込んできたというところでしょうか。というかこの一作で北野映画の基本プロットを全部手の内明かしたとも言うべきで、続いて撮った『あの夏、いちばん静かな海。』や『ソナチネ』は本作を因数分解したような感すらあります。音楽を全く使わず極端に少ないセリフ、そしてあっけにとられるラストといい一種の不条理劇と言えるんじゃないでしょうか。まだ俳優素人だったたけし軍団の面々も初起用、彼らにバラエティーのような騒々しい演技をさせなかったなかなかの慧眼です。とくにガダルカナル・タカの強面ぶりはかなりのもので、この人ヤクザを演じて凄ませたらピカイチです。あと渡嘉ちゃんのくりだすパンチは、さすが元チャンプだけあって惚れ惚れさせられます。どうせあのラストにするなら、もうちょっと続けて便所から出てきた柳ユーレイが実はあのチームのエースで四番打者、そして活動的な陽キャラだったと判らせるオチにしたら、パラレルSFみたいで面白かったんじゃないでしょうか。まあ北野映画に全般的に言えることは、SF要素というか発想が無いということで北野武のいちばん苦手な分野なのかもしれません。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-03-10 22:38:41) |
59.《ネタバレ》 若き日の石田ゆり子が出ているので観てみたが、中身からっぽ。野球スポコンを期待していたのだが、何とも間の抜けた雰囲気。我らがたけしクンは愛人をイジメてるだけ。ほとんど何言ってるかわかんねえし。特に後半が酷い。これは駄作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 5点(2019-06-03 23:34:43) |
《改行表示》58.《ネタバレ》 強く惹きつけられた。あの「ソナチネ」より好きな作品だ。 ナンセンスなバイオレンスはある程度北野武に一貫しているが、この映画ではそれが最も明確に成されている。 特に兄貴分に「指を詰めろ」と迫られ、冗談かと思っていると本当に叩き切られ、それでいてなお関係は変わらず継続していくシーンは、北野映画の全シーンの中で最も優れている。 ラストシーンが、あれだけ上手く機能したのはおそらく意図によるものではないだろう。 映画全体のナンセンスさが、夢のナンセンスさとぴったり合致している。それでいてその生々しさが、けしてそれが「夢オチ」などという安易なものではないという印象を焼き付ける。 この映画を見終えたものが「あの出来事が夢だったとしても、現実だったとしても、全く同じことなのだ」とさえ気がつけば、あのオチに宿る奇跡の意味をおそらく知ることになる。 【浅田荷葉】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-03-12 03:23:53) (良:1票) |
《改行表示》57.最初、ガダルカナルタカの役はたけしが1番合うんじゃないかと思ったが、実際のたけしの役柄を観て納得、ここまで得体のしれないクレイジーな役所はたけしにしか無理だった。 ストーリーは賛否分かれる所だと思うがたけし映画のファンなら避けては通れない道。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-07-12 19:26:52) |
《改行表示》56.《ネタバレ》 惨敗というレッテルが貼られがちだが個人的には非常に面白かった。 セリフが少なく音楽も細いが100分も満たないストーリーに狂気とたけしの魅せ方が凝縮しているように思える。 青年が暴力団に復習を決意していく話で夢落ち。もはや定番となる暴力団の絡みとありきたりな結末がしっくりきて見事融合した粗削りなアート。 賛否両論はわかってる。でもたけし映画の魅力を感じるなら避けては通れない本作品。 |
55.《ネタバレ》 北野映画らしいカメラワークや間の取り方、セリフ回しを充分に楽しめる映画 北野映画としては2作目「その男、凶暴につき」で評価されたクリエイティビティをさらに強調した映画になっていて北野表現がもっともわかりやすく、その分鼻につくかもしれない しかし好きな人はこれが一番好きかもしれないな 主人公のセリフはほとんど無く、無表情で棒のようだ 脇を固める人達も身内のたけし軍団で決してうまいとはいえないキャストばかり これはたけしが俳優なんてどうだっていいじゃん的な方向を究極まで突き詰めた結果の様に思えた そう言う意味では自分の才能に自信があってガツンと作った感がある 見ていて安定感がある しかしこのキャストではヒットは見込めない(笑) ヤクザの世界を徹底してカリカチュアしていて怖さを通り越してかなり可笑しい すべてがブラックユーモアで出来ていてほぼファンタジーである 見送りの三振をフルで見せる 何度も繰り返して名前を呼ばせる ビールで殴った後でもう一度ビールで殴る もう止めてやれと言いたくなる程、延々と女を小突く タイトルもジョーク以外の何者でもない この辺のセンスはやはり日本人離れしていると思った その分日本人には受けないだろうなとも思う 前半は非常に面白いが後半はブラックすぎて笑えない 北野映画に共通するがエンディングにカタルシスが無い 毎度のバッドエンドには唖然としてしまう 無関係な恋人の石田ゆり子まで自爆して果てるのはたけしも人が悪すぎる 夢オチ的なラストはまったくピンと来なかった このラストなら何度も何度も繰り返しのギャグが全編に渡っているのでスゴロクの振り出しを思わせる演出、あるいはパラレルワールド的な演出でオチにするべきじゃなかろうか とりあえず北野らしさの見本のような映画である 【にょろぞう】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-07-29 00:09:28) |
《改行表示》54.《ネタバレ》 初監督の一作目がインパクトあったので、比較すると微妙な感じに思えるが、個人的に好きな作品の『ソナチネ』等、後々の北野作品独特のカットが垣間見える。 が、私はジェントルマンなんで(ホンマかいな?)、レディの頭を小突いたり蹴ったりするシーンがチョッと目に余ったのがマイナス点。 【ぐうたらパパ】さん [インターネット(字幕)] 5点(2013-11-16 17:06:06) |
53.《ネタバレ》 柳ユーレイのボソボソ話すキャラに終始イライラ、作品自体も地味でパッとしない印象だった。率直な感想で言えば、とてもつまらなかった。 【afoijw】さん [DVD(邦画)] 2点(2013-09-15 11:18:44) |
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52.《ネタバレ》 ただただ続く日常。その中で偶発的に起こる暴力の発火と終着点。素晴らしい。が、沖縄上陸後は映画として収まる場所を急に探し始めた感じがして自分には合わない。タンクローリーでの突入も「その男凶暴につき」ような美しさはない。「その男~」時にあった『死』を超えて互いに関係性の構築をぶつけ合う様ではなく、単純に、短絡的に『死』で決着を着けようとスイッチが入った若者にしか見えない。このような短絡的な『死』の物語にも美しさはあると思うが本作は描けてはいない。残念。 【reitengo】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-04-19 13:30:50) |
51.ソナチネの原型ということか。ストーリーのつながりはあまりうまくない。絵はいいね。 【Balrog】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-09-11 16:14:04) |
50.《ネタバレ》 北野武監督作品第二作目も北野武らしい。いや、北野武というよりはビートたけしらしい馬鹿馬鹿しい笑いを描いている。例えばオープニングからしてもそうである。草野球の最中にただ一人だけ仮設のトイレから出てくる冴えない男の登場の仕方といい、やくざに巻き込まれるまでの流れ、更に最初に代打で出てきて一度もバットを振らずに三振の汚名返上とばかりにもう一度代打で今度は大きな逆転ホームランも前のランナーを追い越してアウトで逆転ならずに敗戦。ここらは予想通りではあるが、たけしらしい。更にそんな男が初めてのデート中、二人をからかっている奴等が止まっている車に追突。監督武というよりもビートたけしらしい馬鹿馬鹿しさである。ビートたけしの子分、渡嘉敷の指を詰めるのも将棋の駒ってのも如何にもたけしが思いつきそうな感じである。沖縄での場面、置いてけぼりを喰らう二人のシーンや事務所に乗り込んで銃を撃っても弾が出ず、その後の彼女のデート中の車の中で発射やら空港内で前の乗客の荷物にどさくさに紛れて持ち歩いていた銃を投げ入れるというようなアホらしさ、そうそう、海でのシーンの静けさ、最初から最後まで全く音楽無しなのも新鮮である。うるさい音楽なんて無い方が映画に集中出切るんだぜ!とでも言っているような演出である。最後も草野球の場面で閉める。しかもここでまたトイレから出てくる男、野球とヤクザ、何の関係もないような中でそれぞれの見せ方が面白い。面白い映画なんだけどどうにも女性に対して殴る。蹴るシーンが多過ぎるのが気になる。作品全体の色、静かな中で感じられる殺気やら馬鹿たけど何とも憎めない登場人物、北野武(ビートたけし)は岡本喜八監督の初期の頃の映画に出てくる可笑しな人達の様にこの映画は明らかに岡本喜八監督の「「ダイナマイトどんどん」の影響を受けているそんな映画だと思いました。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-12-19 20:00:45) |
49.沖縄、ヤクザ、海、砂浜、マシンガン等、次作『ソナチネ』で見事に開花するネタが詰まっています。が、ストーリー、キャラも弱くつなぎの作品のようであり、北野作品たる迫力には欠けます。 【さめがい】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-12-18 13:13:13) |
《改行表示》48.設定も悪くないし、演出も北野監督らしいシーンが垣間見えるのだが、 あくまで実験的な作品という印象で、まだこなれていない感じは受けてしまう。 役者としてのたけしは存在感が抜群だけど、石田ゆり子の役柄が不可解だし、 ラストもこれはちょっといただけない。北野監督の初期作品ということで、 「ソナチネ」などにはうまく生かされたのかな? 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-09-28 05:35:02) |
《改行表示》47.未来の巨匠の試作品。一言で言うと荒削り。 しかしその後の作品を知っている人にとっては、その萌芽をこの作品から感じ取ることが出来ます。 仮にこの作品だけを世に問うなたら、無視されて終わったでしょう。 のちの名作の作品群の原点という意味においてのみ価値があると思います。 作品単体としては、ちょっと間延びしてます。 【ひであき】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-07-16 03:25:05) |
46.まず撮りたい画があって、それに合わせてストーリーを構築していったような印象で、はっきり言ってストーリーはよく分からないのだが、それでもけっこう面白かった。たけし映画はセリフが少ないのが特徴的だが、この映画では音楽もカラオケでベンガルが歌う曲以外は一切なしという徹底ぶりで「その男、凶暴につき」に続いて独特の雰囲気を持った作品となっていて、沖縄、海、空など「ソナチネ」と通ずるようなところがあるのも偶然ではないだろう。「ソナチネ」でも海や空の青がとにかく印象的だったが、わずか2作目にして既に海や空の映像に対してこだわりが見られ、たけし映画の特徴の一つであるキタノ・ブルーと呼ばれる青を強調した映像がこの映画でも美しく表現されており、「その男、凶暴につき」同様、たけしのお笑い芸人とは全く違う映画監督としての北野武を語る上でとても貴重な作品で、特にのちのたけし映画の芸術性はこの映画が原点なのだと思わずにはいられない。個人的には「その男、凶暴につき」のほうが好みだが、この映画もたけし映画の原点として外せない映画ではないだろうか。たけし本人が出ていて、主役ではないのもこれだけのような気がする。(かなり目立っちゃってるけど。)それにしても無名時代のトヨエツが若いなあ。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-06-02 00:14:36) (良:1票) |
45.情景の集まりのような映画。やくざ、野球、海、おねえちゃん。ナンセンスだろうと撮りたい絵をつないで作家性が生まれたら映画として成功なんだろう。 【michell】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-03-26 18:35:55) |
《改行表示》44.わずか2作目でその後のたけし作品すべてに通じるものが構築されている。 夏、沖縄、空、海、遊び、ギャグ、冷めた目線、そしてキタノ・ブルー。 キタノ映画の原点。いちキタニストとしてはたまらん作品です。 【せかいのこども】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-12-12 11:12:36) |
43.《ネタバレ》 別に特別面白い映画ではないんだけど、全体に漂う枯れた空気感が、何度も観たくなります。ガソリンスタンドでヤクザがイチャモンつけてくるシーンや、バーでマスターがキレるシーンは凄いです。シュールなジョークも笑えます。ただ、沖縄編の後半から武が主人公になっちゃってるのと、沖縄から帰って来てからの流れがちょっと面白くなかった。 【モンチョ】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-11-18 00:23:49) |