9.《ネタバレ》 現在では大げさに言うと星の数ほど製作されている“メキシコ国境もの”映画のはしりのような作品、レーガン政権が始まった80年代初頭からこのテーマが注目されるようになってきたんですね。言ってみればこのジャンルの映画の基礎型みたいな感じなんだけど、ジャック・ニコルソン、ハーヴェイ・カイテル、そしてウォーレン・オーツという豪華な顔ぶれのキャスティングなのになんか盛り上がらないんだよね。決して正義感に溢れるキャラじゃなく派手好きな女房に振り回される国境警備隊員を演じるニコルソン、そんな男が汚職に手を染めながらもふとしたきっかけで乳飲み子を抱えて国境地帯に流れてきた姉弟を無償の愛で助けようと奔走する。ここはさすが名優ジャック・ニコルソン、抑えた演技ながらも自らの行動を変革して、くたびれた空しい人生を建て直そうとする男を好演しています。この映画というか脚本の難点は、メキシコ女性の「なぜ私を助けてくれるの?」という疑問に「それを言っても理解されないだろうな」というニコルソンのセリフの通り、観ている方にしてもそれが判りにくいところなんです。ニコルソンの内面の葛藤をもっと観客に見せる脚本じゃないといけなかったんじゃないでしょうか。監督は60年代英国ニュー・ウェイブ・シネマの旗手だったトニー・リチャードソンです。本作でのニコルソンと妻のヴァレリー・ペリンとの関係性は、やはり奔放な妻に引きずられるリチャードソンの遺作である『ブルースカイ』のトミー・リー・ジョーンズとジェシカ・ラングに似ているなと感じました。 まあこれがブルース・ウィリスあたりが主役なら汚職同僚のハーヴェイ・カイテルやウォーレン・オーツなんかもバッタバッタと撃ち殺すオチになるんだろうけど、カイテルは銃弾があたってタイヤがパンクした車に押しつぶされオーツは勝手に横転した車が炎上して焼死、密入国ビジネスの元締めに至っては転んだらショットガンが暴発して頭を吹き飛ばされて自滅。要はニコルソンが直接殺した相手は皆無で、こういう捻ったところがニコルソンらしいと言えます。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-05-12 22:00:53) |
8.清濁併せ呑む割合の違いによる対立というなんとも微妙でグレーな作品。少女に肩入れするのがわかるようでわからなかった。バカな奥さんにも原因があるようにも思えるが、そもそもどうしてこの2人が一緒になったのかが疑問。色々とスッキリしないが、ある意味リアルとも言えるのかも。 |
《改行表示》7.《ネタバレ》 終始殺伐とした雰囲気ですが、すごくリアルでいい感じ。実際、昔も今も国境付近では本音と建前が行き来しているのでしょう。珍しくジャック・ニコルソンだけがマトモという設定ですが、けっしてガチガチの正義漢ではないところもいい。ただ最後は妙にあっさり美しい場面で終わっていましたが、その後の〝近所付き合い〟がどうなるのか気になります。まあ引っ越すんでしょうけど。 ここに巨大な壁を築いて本格的に不法移民を遮断すると、メキシコ側だけではなくアメリカ側でも困る人が出てきそう。いろんな意味で。そう教えてくれる秀作でした。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-21 02:35:14) |
《改行表示》6.《ネタバレ》 実際の国境警備隊はどうなんでしょう。これぐらいドロドロしてるものなのかな、、、。 社会派の作品ではありますが、ハードボイルドな西部劇っぽさを感じる作風でもありました。 淡々と、自分の正義を貫いていく。ニコルソンがこういう役柄なのも珍しい感じがしまた。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-02 21:04:16) |
5.《ネタバレ》 ジャック・ニコルソンがこういった善良正義漢には致命的なくらい合ってないというのは、まあいいとして・・・せっかくの国境警備員という題材に着目していながら、その日常だったり基本だったり任務だったりというのが描かれておらず、ただ登場人物が動いているだけ。そうかと思えば、奥さんとの間のどうでもいいような描写に浮気していたりもする。後半、母子のところに焦点が絞られてからは、物語っぽくなっていますが、前半であるべき前提が抜け落ちているため、興も高まりません。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-11-19 00:41:31) |
《改行表示》4.国境警備隊のオハナシ。なぜ国境を守らないといけないかというと、メキシコから麻薬を持ち込むけしからんヤツがいるから、というケースもあるにはあるんですけれども、生活のためにやむを得ず国境破りをする貧しい人々が、そこにいて。 一方のアメリカ側から見れば、ここは辺境の地。主人公の奥さんは、都落ちの勢いもあってか、ベッドだのプールだのとプチ贅沢を始めて、主人公をいらだたせる。庭でのパーティでは、主人公だけがバーベキューの準備をさせられて、これもイライラ。いやまあ、「贅沢の限り」というワケじゃあない、ちょっとした浪費なんですけれども、国境の向こうでは貧しい生活がある一方でこのプチ贅沢。砂埃にまみれた田舎町における、微妙な対比が、ちょっと切なくもあるのですが。 例によって例のごとく、この辺境の地では辺境ならではの腐敗があり、ますます、何のための国境警備なのか、という思いにとらわれてしまう中で、誘拐事件が発生し、主人公がついに立ち上がるクライマックス。 社会派っぽい内容なので、あまり荒唐無稽なアクションは楽しめませんが、それでも、舞台が舞台だからか、それともウォーレン・オーツが例のウォーレンオーツ顔で登場するせいか、少し西部劇の趣きも無くは無く、作品の魅力になっています。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-11-17 12:59:32) |
3.《ネタバレ》 ジャック・ニコルソンと「16ブロック」の時のブルース・ウィリスが似すぎてしゃあないんですがそんなにも面白さを感じず。シリアスな映画にしたいんだろうとは思うけど陽気なシーンからいきなり殺伐としたシーン変わったり何もない荒野のシーンに変わったりとギャップが妙に激しいのでその辺がちょいと気になりました。たまにチャーリーの行動に行き過ぎなとこがありましたけど国境警備隊ってそんな自由なもんなんかなぁ。ライ・クーダーの主題歌の印象が強すぎてストーリー、インパクト度で負けてねぇか? |
2.国境を警備するジャック・ニコルソンが普通に綺麗で魅力を感じなかった。彼じゃなくてもテレビ映画でいいような内容だった。 【スルフィスタ】さん 5点(2004-01-12 18:01:36) |
1.英人トニー・リチャードソンがジャック・ニコルソンと組んで、いかにもアメリカ的ないい映画を作ろうとした心意気が感じられて好きなんだけど、残念ながらキレの悪い退屈な映画に仕上がってしまった。題材も捉え方もいいので余計に惜しい。ライ・クーダーのAcross the Border Lineは名曲。 【アンドロ氏】さん 6点(2002-12-10 22:52:00) |