12.《ネタバレ》 監督カサヴェテス、主演ジーナ・ローランズとくれば、まず頭に浮かぶのは「グロリア」。
しかし本作の監督はジョン・カサヴェテスではなくニック・カサヴェテス。そう、ジーナ・ローランズの息子にあたります。
これがニックにとっての長編デビュー作とのこと。
ソフィア・ローレンがやはり息子の長編デビュー作で主演した作品を思い出しました。
息子がデビュー作で母の主演作を撮る。息子だからこその魅力的な母の姿をとらえていると思います。
最初はどこか陰のある、まだ幼い少年と大人が出会う。こういう場合、映画では男同士が圧倒的に多いのですが、
本作はその大人が女性ならではの柔らかさ、あたたかみを感じる。
この少年の母はいつもくわえタバコに酒。しかしジーナ演じるミルドレッドと接するうちに次第に母親らしくなっていく。
一方のミルドレッドも、この母と息子と接するうちに人生について改めて考えるきっかけとなっていく。
まだ幼い息子との微笑ましい交流を交えながら、2人の女性が互いに人生を見つめなおす優しさのあるドラマ。
ミルドレッドとは対照的な、この少年の母親役のマリサ・トメイも、こういう役を非常にうまく演じる人です。
最後ははこの母と幼い息子、そしてミルドレッド自身の息子、娘とも別れ、彼女はどこへ向かうのだろう?
一抹のさみしさを感じつつも彼女が旅立っていく、毅然としていて力強さを感じさせるその姿が印象的なラストでした。