20.各登場人物にはモデルが居るようだが、ローマカトリックはファシスト政権とは良好な関係にあったわけで、本来イデオロギー的にも対立関係にある共産党系レジスタンスを支援する司祭というのはかなり異色な存在であることには留意すべきだろう。とはいえ、人間とはグレーな存在であり、ナチスに協力するイタリア人もいて、人間の行動は白黒がつけにくかったりもする。よって、司祭の中にもナチスに協力的な人もいたはずで、その辺キリスト教とファシズムの関係性についての描き方は一方的で弱かったように思う。かなり共産党イデオロギー色の強い作品ではあるが、そういうことを割り切って類似的な事象があったと想像して見るならば、ひとつの歴史的事柄を描いた作品であるとは言える。 |
19.《ネタバレ》 第二次大戦において1943年にイタリアが連合国に降伏すると、ナチスドイツはローマを制圧します。そのローマを舞台に、地元レジスタンスの活動とナチスによる弾圧を描いています。40年代にイタリアで起こったネオレアリズモの代表作です。ネオレアリズモとは、演劇的な様式を取り払って、現実を真摯に見つめて描くことなのかなと考えるのですが、当時としては、画期的で衝撃的だったのかも知れませんが、今となっては凄さがよくわかりませんね。病気の爺さんがいい味出してました。レジスタンスの恋人や新妻は、いまいちグッときませんね。ナチスの高官のいやらしさと、その女の妖怪っぽさは良かったと思います。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 5点(2023-05-29 18:48:40) |
18.関東大震災の直後に溝口健二が荒廃した街を舞台に映画を早撮りしたという話を思い出しました。舞台セットでは絶対に表現できないリアル、浮かび上がる、空気を舞うホコリ。確かに映画史に残る傑作であることに間違いはありません。ただ、ストーリーに面白さをさほど感じられなかったので、この点数をつけました。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-12-06 22:51:08) |
17.悪口を先に言っちゃうと、ファシストの描写。作られた時が時だからある程度仕方なく、この時代はこういう悪役像しか作りようがなかった、という1945年の記録になってるわけでもあるんだけど、やっぱり後世の目で見ると薄っぺらい。いかにも悪女めいた表情してたり。しかし個性を持った人物が出ないシーンになると、がぜん光ってくる。あわてて逃げている男の背後で明けていく朝の空。あるいは兵士が到着し、オートバイが回り込んで止まり、家の周りを包囲していくその臨場感。処刑のシーンのまぶしい白い光。これつまり1945年の錦絵・瓦版みたいなもので、これこれこういうことがあったと多くの人に告げ知らせたいという意識が濃いんじゃないかな。劇映画も否応なくその時代の記録映画となってしまう、ということを確認できた作品。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-10-01 09:27:33) |
16.これを観てわかることは、要するに映画はロッセリーニからほとんど進化していないということです。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-06-02 22:09:28) |
15.当時、すごい作品だったことは、想像できました。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-10-27 06:16:45) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 これが、大女優イングリット・バーグマンをロッセリーニのもとへ走らせたという、噂高き映画なのか。たしかに第2次大戦下の映画としては、驚異的なものだったろう。 主人公ともいうべきアンナ・マニャーニが映画半ばにして射殺される。またレジスタンスのリーダーは体中をバーナーで焼かれて拷問死、不屈の神父は聖職者をも恐れぬゲシュタポによって処刑、何という非情であろうか、言葉もない。 ネオレアリズモとしての第一声をあげたとされるこの映画を見るべき価値は高い。第2次世界大戦末期のイタリア、そこにはこのような歴史のドラマがあったのかと思うと感慨深い。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-03-20 06:56:35) |
13.《ネタバレ》 暴力の連鎖。刻み込まれた遺恨。死を前にした神父の「死ぬことは難しいことではない、生きることのほうが難しい」は肩を落として立ち去る子供達並びに本作を観る者への懺悔と遺言に思えました。 |
12.イタリア終戦直後の記憶も生々しい時期にこのような映画を作るという、その映画人の心意気に感動した。 【とと】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-19 12:06:44) |
11.《ネタバレ》 アンナ・マニャーニという強烈な存在感を持つ女優が特別なオーラを持たない市井の人として登場する。そして唐突に殺される。かなりドラマチックなシーンでもあるが、ドラマチックさよりもこの唐突さに呆然とさせられる。ただの人がただの死骸となる瞬間がここにある。映画はいくらでもこの死を長引かせることができるのだが、唐突に訪れた死は唐突に訪れた死以上の意味を持たず、死は「終わり」であってそれ以上のなにものにもなろうとしない。これがネオレアリズモだ。そしてこのシーンは、まるで映画の中に現実が飛び込んできたような、あるいは現実の中に映画が飛び込んできたような、つまり、今までの世界の流れを断ち切るようなインパクトを持っている。この映画と撮影時の現実が極めて同じ時間の流れにあるレジスタンス映画において、一人の女の死はそうあるべきなのだ。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-10-06 16:36:06) |
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《改行表示》10.射殺された女性のエピソードや拷問によって殺されるエピソードなど、悲惨な現実が写しだされているのですが、その中ですごく好きな会話があります。少年が隠し事をしていて、「俺にも言えないことかい?」と問い詰められます。「秘密なんだよ…。」と答えると「…そんなら、よし誰にも言うなよ。」という、まぁなんてことないやりとりなんですけど、思いやりにあふれた言葉で好きです。 【きむねぇ】さん [映画館(字幕)] 9点(2008-06-27 00:44:08) |
9.《ネタバレ》 終戦を迎え、本当に平和を願う気持ちが現れたイタリア発のネオレアリズモの初陣。すぐにでも崩れてしまいそうな緊迫感がまさに当時を物語っているようで、怖さも覚える。最後に子供を映すことで希望は残したエンディング。生きることの難しさをひしひしと感じられた。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-05-03 12:40:45) |
《改行表示》8.《ネタバレ》 いくつかのとりわけ素晴らしいシーンを別にすれば、映画としては格別驚くべき作品ではないとも思うが、政治的メッセージを込めた意味合いや、撮影当時の状況を考慮すると忘れられない作品だと思う。ロッセリーニ監督はこの後「戦火のかなた」と「ドイツ零年」を続けて発表しネオレアリズモの旗手となったが、本作は他の二作とは少しばかり趣が違う。例えば人物であるが、基本的にどこか傍観したような姿勢であるのに本作の神父さんは様々なシーンで性格が描写され感情的でもあり近距離だ。それに老人のベッドに武器を隠そうとするシーンなどはとても面白くなっている。だが逆に物語としては他二作よりは比較的ドラマティックではない。これは同じくネオリアリズモの担い手であるデ・シーカ監督(「自転車泥棒」や「靴みがき」)にも言えることだが、リアリズムと言いながらも物語展開は極めて劇的なのだ。もちろんこれらは皆あくまで映画であるし、過酷な社会状況を映し出したことやクローズアップを多用しない等の撮影方法、一瞬で失われる命、主人公たちに大団円が用意されていないという意味などでは現実的で娯楽映画とは一線を画すわけであるが。そんな中でも本作は、出来事自体も図ったのではない偶然の産物に思えドキュメンタリー形式に最も近くありのままの姿が映し出されているのだと感じられる。ただ、ラスト近くの拷問の場面、地獄のような責め苦を課す部屋の隣室に試練を受ける神父を挟み、その扉向こうは享楽に耽る娯楽室、さらに誘惑してくる容赦ない将校と同性愛の匂いがする不気味な女のキャラクターは狙ったように悪魔的だと思う。 それからこれは三部作通して言えることだが、決して同情を誘うような安易な存在ではない子どもの描写や使い方が突出している。途中のサッカーシーンやラストの射殺を見守る姿などすっかり心を動かされてしまう。 だが、私の最もお気に入りのシーンは神父さんが裸の女の彫刻と男の彫刻が向き合って置いてあるのを反らす何でもない場面で、喜劇的行動を出し抜けに挿んだロッセリーニのユーモアが何とも可笑しい。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-05 18:15:51) (良:1票) |
【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2007-09-03 16:17:22) |
6.《ネタバレ》 イタリアンネオレアリスモを代表する作品ということで少し身構えていたが、コミカルな演出もあってそれほど難しさを感じることはなかった。女が射殺されるシーンや最後に神父が銃殺されるシーンは忘れがたいものとなりそうだ。 【クルシマ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-31 23:35:08) |
《改行表示》5.《ネタバレ》 「ドイツ零年」を観て、数年前にみたこっちの方が自分は面白かったなと思った。 現在進行形のドキュメンタリーを観ているようなドキドキした不安を今でも覚えている。有名なシーンである女性が車を追って撃たれてしまう場面や神父さんの傷だらけの顔・・・思い出すと今でも胸が苦しくて仕方がない。 【りんす】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-06-29 18:43:37) |
《改行表示》4.《ネタバレ》 非常に絶望的な作品です。(アンジェイ・ワイダの「地下水道」を見た後の気分に似ています。)。ある意味ドキュメント的な作品と言えるでしょう。 神に仕える者としての信念に殉じた神父の姿が、最後のシーンとともに深く印象に残りました。 【TM】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-16 21:02:54) |
3.戦争の生々しさが伝わってくるなんて言うと、本当に陳腐でありきたりな台詞なんだけど、戦争を経験したロッセリーニが戦時下で資金を集め、フィルムの切れ端を集めて撮ってこの映画は本当にドイツ占領下でのイタリアの様子が本当によく伝わる。派手な戦闘シーンなんかはないけれど、生きていなければならない人が死んでいく様子には本当に胸を打たれる。イタリア・ネオレアリズモの悲しい幕開けを目の当たりにすることになる。 【アンダルシア】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-16 00:22:47) |
2.ふだんは悪ガキどもを叱りつけてばかりの謹厳で頑迷な神父が、最後に反ナチの罪で処刑される。その処刑現場にかの悪ガキどもがやってきて、ナチの兵士に対して抗議の口笛を吹く。それをなんともいえない表情で、しかし静かに眺めやる処刑直前の神父。神父や僧侶というのは、人々からバカにされながらも、ひっそりと自分の死を見据える存在だと思う。神父・僧侶好きのわたしにとって、このシーンだけでも本作品は意義深い。 【バッテリ】さん 8点(2004-01-16 21:44:32) |
【STYX21】さん 5点(2003-11-16 02:25:47) |