104.ドラマ性を廃して長回しで撮り続ければいつか映画の神様が降りてくるかもしれないという信仰が有効だった時代の産物ですね。しかしそんな迷信は素人がスマホで撮った映像が氾濫する現代ではもうほとんど効力を失っているのではないでしょうか。つまるところ映画というのはどうあがいても映されたものに人間の意図が働かざるを得ない創作物なのですから神頼みの前に人智を尽くすべきだと思います。リアルな風俗描写だけが取り柄で明確なメッセージがない作品に時代を超える力は宿らないでしょう。しかも銃乱射犯人たちのパートになるともうあからさまにカッコいい絵を撮ろうとする演出の意図が見えてきて全体のコンセプトすら貫徹できていません。どうしても事件の直接的な描写は劇的にならざるを得ないのでしょうが、ここでこそ抑えた描写をしないのは何かが間違っています。エリーゼのためにやナチスのような深読みさせるための要素をしっかり入れるのには苦笑いです。それに同性愛者とナチスを結びつけるとはなんと軽率な描写でしょう。説明不足のためにその意図が深淵であるように見えるだけで実はこの監督は事件とそれに関わった人間についてろくに理解していなかったのではないでしょうか。 |
103.《ネタバレ》 コロンバイン高校銃乱射事件をモチーフにして、破壊される前の日常的なハイスクール生活を、飾ることなく、ごく自然に再現し、終盤に起こる銃乱射による破壊と対比させています。銃社会というアメリカ的なテーマを、エンターテインメントを度外視したアメリカらしからぬ手法で描いたところが肝ですかね。3人娘の濃くて顔立ちがはっきりしてる娘がかなりタイプです。あと、写真部の女の子(日系のハーフ?)は、しぐさ、ふるまいに西洋人にはない女らしさ(無意識的につくる”しな”)が魅力的でした。他は大したことなくて、主人公男子に負けてます。まあ、それだけ普通の人を普通に演じてるわけで、すばらしいことなわけで。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 8点(2023-05-29 19:00:25) |
《改行表示》102.《ネタバレ》 何気ない日常風景から、殺戮現場への急転直下。 見せ方はうまいが、引っ張り過ぎで、途中で眠くなる。 最後は後味が悪いだけで終了なのだが、この救いも無くオチも無いのが、まさに無差別殺人の理不尽さ、理屈の無さを表現しているのかもしれない。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 5点(2022-07-04 22:40:26) |
《改行表示》101.扱いにくいテーマをよく扱った。アメリカらしい方法論で撮られているが、アメリカらしい質の低さはなかった。 様々な意味合いで個性的な映画で、印象に強く残った。 【浅田荷葉】さん [DVD(字幕)] 6点(2019-03-27 00:11:57) |
《改行表示》100.実際に高校で起きた銃乱射事件を題材にしていて、パルムドール賞を受賞したらしい。 映画としては、全く面白くないんですけど、約80分案外あっさり観ることができました。 “地下鉄サリン事件“ やら、 ”911同時多発テロ“ やら自分がいつ事件に巻き込まれてもおかしくない・・・・。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 4点(2018-07-30 20:24:05) |
99.《ネタバレ》 この作品が優れているのは、その瞬間まで、人は自分に危機が迫っていることをまったく知らずに生きている、という現実の無情さを徹底して具現化してみせたこと。そして、ただすれ違っただけの名前も知らない人にも、そのときその場所に至るための必然がある、ということも同時に具現化して、破壊された物事の重さを実感させてみせたこと。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-02-14 02:43:57) |
《改行表示》98.《ネタバレ》 主観で答えありきの『ボウリング・フォー・コロンバイン』とは違い、 こちらは客観的に高校生のあやふやな精神状態を切り取る。 盲人が象の一部分を蛇や木の幹と表現するように、 答えは人それぞれである意味で答えはない。 時系列を交錯させながら同じシーンが別の視点で映し出され、 平凡なはずの日常に潜むノイズが積み重なる。 だからこそ、移ろいゆく秋の風景が、流れるようなカメラワークが繊細な美しさと儚さを一層醸し出す。 誰もが悩んでいるのに周りを汲み取れない、高校が世界の全てといった視野の狭さが、 惨劇も日常として描かれる不条理を許しているようだ。 |
《改行表示》97.《ネタバレ》 目隠しをして象の皮膚を触らせたところ、誰もそれが象だとは分からなかったという昔話がタイトルの由来だとか。本作はコロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにしつつも、あの事件の原因や影響等の分析をすることには意味がないという姿勢をとっており、ただ漠然と続くだろうと思っていた人生がある日突然終了した高校生達のドラマを描くことに注力しています。その基本姿勢ゆえ、映画に明らかな結末を求める客層にはあまりオススメできない仕上がりとなっています。私自身、本作を興味深く見ることができませんでした。80分程度の上映時間ながら、途中で何度も寝落ちしそうになったし。。。 とはいえ、ガス・ヴァン・サントによる演出には非凡なものを感じさせられました。シナリオらしいシナリオは書かず、映画の大枠だけを決めて撮影に入り、その撮影も素人のアドリブを中心に撮っているため雑然とした影響を受けるのですが、同じ場面がアングルを変えて何度も何度も繰り返された辺りから、今まで写っていた登場人物達はこれからの銃撃に巻き込まれる被害者達なのだと気付かされて、急に怖くなります。全体としては雑然と作っているように見せかけて、必要な部分では高度なストーリーテリングの技術を駆使して観客を誘導していくという隠し味の効かせ方のうまさ。これには感心させられました。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-09-17 00:31:52) (良:1票) |
96.長回しで校舎の中をひたすら巡っていく。ときにスローモーションになるが、ドキュメント性。「地獄になるぜ」の注意の前と後とで校舎の緊張が違って見えてくる。ゼロ時間へ向けてカウントを始めたような。同じ場所が視点を変えて反復され、塗り重ねられていく。「イジメの暴発」と単純化させない。犯人にも被害者にも同等の資格を与えている。最初の被害者はダサーイと言われている女の子だった。天上から聞こえてくる「月光」を最初に聞き取ったことの意味は? ここでドキュメントからはっきり飛躍している。あくまで事件を知っている観客を予定しているわけで、まあ映画にはそういう同時代の観客用という面はいつもあるし、その「ナマモノ感」が大事な気がする。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-12-30 09:14:42) |
【悲喜こもごも】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-01-21 23:52:46) |
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94.実験映像としてはとても興味深い。しかしここまで「ドラマが作品の外にある」というのはいかがなものか。こんな手間暇をかけるのならシナリオ的にもう少し粘って、独立した一編の作品として成立させる何らかのアイデアを投入して欲しかった。繰り返される長回しの連続は圧巻だが、その繰り返しが「一つの時間・空間を様々な人々が共有している」ということ以上の意味を持っていない点が特に惜しい。 【皮マン】さん [DVD(字幕)] 4点(2012-10-11 14:46:53) (良:1票) |
93.《ネタバレ》 青春という時代に、誰もが抱く危うい狂気の世界を独特の映像美で静かに描いた、いかにもガス・ヴァン・サントらしい映画。ずっとこの監督とは感性が合わないなぁと思っていたのだけど、これはちょっと良いかもと思った。美しくも狂気にまみれた秀逸なアート作品。カンヌ映画祭でのパルムドールというのも納得。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-08 21:56:12) |
92.同時に起こっている出来事を1人1人の視点から切り取って描くという手法は非常に面白いが、ベースとして扱っているのが実在の重大事件だけに、個々の心理描写にしても事件そのものの考証にしても軽く扱いすぎ、日常性を強調するあまりの失態だろうが、実在の事件をリアルに描こうと思ったら日常性・臨場感といった表面上のリアルさだけじゃなく事件概要や感情面もリアルに描かないと意味がない。芸術性とでも思っているのか無駄で間延びし退屈なカットも多くただの趣味の悪い殺戮映画に成り下がっている。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 4点(2012-05-08 07:47:35) |
91.とても色使いが鮮やかな映画でした。淡々と進む1日が、まさかあんな風に終わりを告げるとは。ティーンエイジャーの誰もが抱える薄暗い部分を、対照的に鮮やかな色、色・・で描きあげているのが印象的な作品。 【SAEKO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-08-07 20:21:52) |
90.主人公は一人ではなく全員が名前を持った主人公。その他はいない。たった一つの弾がそのひとの過去も未来も思いもつながりも全て奪っていく。主観を一切はさまない撮り方はすばらしいと思いました。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-02-19 10:17:57) |
89.徹底的に“日常”を描こうと試みた唯一無二の作品。我々が生きる日常の捉えようの無さ、虚無感が絶妙なタッチで表現されている。とは言ったものの、基本的には訳が分からない。とにかく凄いモノを観た、としか言いようのない怪作。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-21 21:05:45) |
《改行表示》88.なんというか、形容しづらいんだけど、月並みな言葉でいえばリアルです。高校時代は実際ああいう息の詰まるような場所だったのかも知れません。陰鬱さや鬱屈、負の部分がかなり強く表現されています。独特のカメラワークと構成も光ります。後ろ姿から撮ることが多く、息づかいまで聞こえます。特にストーリーには関係ない人物であっても名前を出しているのは、単なる「被害者」のまとまりに終わらせないためだったのでしょうか。 時間軸が前後して、重なってくるのは好みでもありますし、「エリーゼのために」など、美しいシーンも印象に残りました。三人そろってゲロ吐くシーンも印象的でした。すごいなぁ。一つ一つ工夫されてるんだよね。 しかし一番疑問なのはタイトルです。なぜ象なんだろうか。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-12 11:25:36) |
《改行表示》87.新しい恐怖の見せ方。とにかく緊迫感が物凄い映画という印象。 極力余計な演出を排し、学生達の日常を、カメラが後ろからただ淡々と追っていくだけ。台詞も本当に日常に溢れる、映画的意味の無いそれぞれの個人的な会話。 BGMもほとんど無い。 長回しも程があるのでは?と思うくらい、何も起こらずただ学生達が歩いているシーンが延々と続く。 しかしほとんど何も起こらない分、前置き無く突然登場人物同士の視界が交差した時、思わずドキリとさせられる。それは徹底してリアルな日常音とカメラワークが、作品全体に終始流れる不穏な空気を作り出しているお陰だろう。 登場人物の名前が所々挿まれるのだが、主犯2人もあくまで他の人物と同じ扱いで紹介される。 ありふれた女子高生も、家族に問題を抱える少年も、スポーツ少年、カメラ少年も、そして殺人行為に駆り立てられる犯人のような少年も、みんな同じ子供なのだ というメッセージをこめた演出なのだろう。銃が通販で簡単に手に入ってしまう世の中では、誰もが犯罪行為に走る危険性がある。危険は日常のすぐそばにいる。 キャストの自然なアドリブ演技も素晴らしく、鑑賞後考えさせられる作品だった。 ただ難点を挙げれば、ラストが唐突すぎて、せめて何かひとつ欲しかったというのが正直なところ。それと、初見でほとんど内容が把握出来てしまうので、2回目以降の鑑賞には堪えうるものでは無いと思う。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-05 10:26:19) |
《改行表示》86.短い上映時間だけに中身がスカスカだった。この手の事件は実際世界で起きているのは知っているが題材に映画化するならドラマ性が欲しかった。キャラクターの名前を出す必要があったのか? 唯一、虚しい空の画は無言のメッセージが伝わってきた気がする。 |
85.コロンバインの事件を題材にした映画は3つ見ましたが、頭ひとつ出ている。 【Nujabest】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-02-17 02:30:38) |