273.公開当時、最も震撼したのは、米国モーテル業界関係者とアンソニー・パーキンスの隣人だろう。 【STYX21】さん 10点(2003-11-13 06:12:55) (笑:4票) |
272.《ネタバレ》 この映画ではシャワールームや最後の地下室のシーンが話題になりますが、今回見て面白かったのは、マリオンが逃亡中社長に見られちゃうところから、ベイツ・モーテルにたどり着くまでです。特にあのグラサン警官の撮り方といったら、もう絶品。ヒッチコックの巧さが十分堪能できます。雨が降る中、口をひん曲げながら運転するジャネット・リーも、ナーバスな犯罪者の様子をよく表しています。後半はややトーンダウンするのですが、その代わり話をバンバン先に進めてしまうのも、いいやり方だと思います。 怖いかどうかで意見が分かれているようですが、これは見終わってから怖くなるタイプですね。ちょっと変わっているものの、一見すると人畜無害な青年であるノーマンが、実はサイコな殺人者であったということ。異常な人間が正常な人間に紛れて、自分の隣にいるかもしれないという恐怖があります。だからこそ、この映画を見たあとシャワーを使うと、たとえ自宅であっても後ろを気にしてしまうわけです。そういう理性に訴えかける恐怖なので、エモーショナルなものを期待したら、当てが外れるでしょう。物陰に隠れていきなり脅かすような、お化け屋敷ふうの恐怖を描いているわけではないのです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-09-10 20:17:55) (良:3票) |
271.もうこれは古典中の古典。もちろん観る度に衝撃度は弱まっていくが映画的興味は深まってゆく一方。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-01-20 15:44:40) (良:3票) |
270.ジャネット・リー・・・が亡くなりました。あらためてサイコを見ました。前に見た時は、視聴覚的恐怖、心理的恐怖、そしてあのラストとよく出来ているなあ~、と感心したのを覚えています。今回気付いたことを少々。アップにしたり、パンしながらも中心に据えたりしていた4万ドル、その4万ドルを動機として犯人を推理する妹、恋人。そして第一殺人のシークェンスの後の金物屋のシーンの冒頭、客のおばさんが「人でも虫でも死は穏やかでなきゃね」と殺虫剤を見ながら話しています。サスペンスの中にも金銭への執着や殺すことの罪悪感の無さ、後者は鳥の剥製にも象徴されているかのようですが、どこか人間風刺を含んでいるようで痛快でした。娘たちに見守られながら眠るように亡くなったというリー、最期はきっと家族愛というシャワーを浴びていたのではないでしょうか。 【彦馬】さん 9点(2004-10-05 19:44:58) (良:3票) |
269.「あ」から順番に見た映画をレビューしてるんだが、この項で二週間ほど止まった。しかし書かないと先に進めないので書く。ともかく、もはや褒め言葉さえ余計に成りそうな出来の作品とだけ言っておきます。ところで、怖いホラー映画が見たいと思ってる方(私もその一人)はコレを見るべきだ。古いからといって侮るなかれ、そこらのB級ホラーよりずっと怖い。私的に一番怖かったのは、例の美しいシャワーシーンではなく、モップで殺人現場の後始末をするシーンと、車を沼に沈めるシーンだ!殺人の後始末と言う異常な状況がすごくさりげなく自然に描かれていて、しかも主人公と一緒に、車がちゃんと沈んでくれるかどうかとはらはらしている自分に気づきぞくっとする。怪物なんかより本当に怖いのは日常に有る軋み、と言うホラーの格言(?)を思い出す。ジャンル的には、どちらかと言えばサスペンスなのだろうが、「恐怖」を追及したホラーの金字塔であると思う。最近はこれほどの怖い映画にとんとお目にかかれず残念だ。 【かなかなしぐれ】さん 10点(2003-11-10 16:18:29) (良:3票) |
268.《ネタバレ》 新聞紙に包み隠した4万ドルから得体の知れぬノーマン・ベイツへ、そしてその母ノーマ・ベイツへと、ゆるやかにスライドし転調していくマリオン・クレインの不安。「罪」からの解放としての清めが、無防備な裸体に下される「罰」へと一瞬で反転する「洗礼」。50年前から語り尽くされてきたそれらを持ちだすまでもなく『サイコ』は未曾有の傑作であり、サスペンス映画の金字塔である。興味深いのは、本作がカラー映画の選択肢のある時代に撮られた白黒映画であるということだ。テクニカラーを華麗に用いた『めまい』や『北北西に進路を取れ』から一転、敢えてモノクロフィルムで撮られ、アルフレッド・ヒッチコックにとって最後の白黒映画ともなった『サイコ』は、カラー以前には白黒の名手として名を馳せた彼の偉業の、その集大成でもある。そしてヒッチコックは、ある意味カラー作品以上に、本作の「色彩」表現に強いこだわりを見せている。白黒映画において、白は光で、黒は影だ。ヒッチコックが墨絵の如き濃淡で描くその光と影は、色を排したこの白黒映画に、けれど色づける以上に豊饒な色彩を表現し得ている。フィルムに焼きつくその色は、ひたひたと迫り不安を掻きたてる闇の黒だ。ハンドルを握りハイウェイをひた走るマリオン。時間の経過とともに画面を濃密に満たしていく黒の粒子。それは、大金を横領し逃げる彼女の罪悪感の象徴のように着実に濃度を深めマリオンを包み込んでいく夕闇の、その黒だ。闇の中ヒステリックに彼女の顔を照らし、強烈に目を射る対向車のヘッドライト。唐突に降りだす雨。光に反射する激しい雨粒がフロントガラスを覆い、不穏な速度のワイパーがグロテスクに歪む光の粒をさらにぐちゃぐちゃにかきまぜ、視界を不安に遮る。そして再びの闇を抜け、やがてくっきりと眼前に浮き上がってくる、雨に滲んだBATES MOTELのネオン管。絶対的な光と影で構築されるこのめくるめく鮮烈なシークエンスに、もはや曖昧な色彩など不要だ。雨に濡れ湿り気をおびた黒と白が、何色よりも美しく、そして何色よりも禍々しく、目に焼きつく。かくも見事な色彩の表現を、私は他に観たことがない。マリオンが車から降りるより先に、私はもういちど断言する。『サイコ』は未曾有の傑作であり、サスペンス映画の金字塔である。マリオンが忌まわしきノーマン・ベイツに辿り着くよりも以前に、ヒッチコックは疾うにそれを証明している。 【BOWWOW】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2010-05-13 17:41:35) (良:2票) |
267.《ネタバレ》 見るのは16年ぶり2度目だったのだが、冒頭のクレジットタイトル部分からやっぱり引き込まれるし、序盤は4万ドルを持ち逃げしたマリオン(ジャネット・リー)の心理を巧みに描いていて、ここだけ見てもかなりの緊迫感があり、見ごたえもじゅうぶんで、このままマリオンの逃避行を描く映画なのだと思わせるのが実に見事で、そのうえで実はそうではないという構成がなかなか今見ても斬新に思えるし、モーテルの主人であるノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)と母親の関係の謎に迫る後半部に至ってもその緊迫感がずっと続くので最後まで目が離せなく、この緊迫感の持続こそが本作の見どころなのだと思う。ヒッチコックは既にこの頃カラー映画中心になってたと思うのだが、あえて白黒で撮影しているのが映画の雰囲気にとても合っているし、本作を見たことがない人でも知っている人が多いほどに有名なマリオンがシャワー中に惨殺されるシーン(今回見ていて本作が白黒なのはこのシーンにいちばんの理由があるのではと思った。)など白黒の特色がよく出たシーンも多く、もし、これがカラーだったら印象が違ってただろうと思う。(カラーでリメイクもされているんだけど、あんまり興味わかない。)マリオンとノーマンの食事中の会話も印象的で、その中でマリオンが自分の過ちに気づいて戻ることを決めるのがこの後の展開を知っているとすごくあわれでかわいそうと思えてくる。焦点がノーマンに移ってからはやや展開が早いように思うのだが、この部分もさっき書いたように緊迫感がずっと続くのでまったく気にならずに没頭することができたし、ラストの真相もさすがに初見時ほどではないもののやっぱり衝撃的。後半になってマリオンを捜しに来たサムとライラが金目的の犯行だと思っていて、見ている側はそうではないと分かっているあたりは倒叙もののような感じだが、考えてみれば本作はやや変化球の倒叙ものと言えるかもしれない。それにしても「サイコ」というタイトルが示すとおりの映画で、ここからサイコ映画というジャンルが確立されたと思って間違いないだろう。そう考えればまさに古典的名作だ。(2022年2月20日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(吹替)] 9点(2006-04-13 14:16:52) (良:2票) |
266.《ネタバレ》 オープニングの二人の情事のシーンからは想像もつかない主役の交代。中盤からの展開を読ませないための構成なのですが、殺人鬼が主役の映画で殺される人間をただの被害者として描かずに十分に感情移入させといて殺すことでサスペンスで曖昧になりがちな殺人の本来のショッキングさを見事に再現している。排水溝に流れる血はモノクロなのにはっきりと赤い色が脳裏に焼き付く。女優のヌード厳禁が当たり前の当時のハリウッドにおいていかに裸を見せないシーンにするかという演出もかえって怖さを倍増させる。そしてなんと言ってもあの音楽!ヒャンヒャンヒャンってやつ。怖すぎます。公開前にはノーマンの母親役のオーデションのうわさを流すなどしていかにも母親が存在しているかのようにカモフラージュさせたらしい。個人的に私の嗜好にちょっとずれてるだけで、これぞ映像作家といえるヒッチの大傑作だと思います。 【R&A】さん 7点(2004-11-01 13:15:12) (良:2票) |
265.《ネタバレ》 こないだ、再度DVDで観てみたが、やっぱり面白い。 変更前に書いた、私立探偵アーボガストが階段を登るときの緊迫感溢れる映し方や、サングラスの警官のドアップ、最後の地下室で照明を揺らすことによって骸骨に陰を持たせて不気味さを増幅させていたりという映像の超絶テクニックを再確認し大満足であったが、今回の再鑑賞では、脚本の技巧さも随所に感じられた。 脚本を作る際に工夫したと思われるポイントは“母親が実在することを如何に信じ込ませるか”という事だと推測できるのだが、私立探偵アーボガストはノーマンとの会話で、マリオンがノーマンの母親と会ったという事は一切出てきていないにもかかわらず、ライラとの電話では母親と会ったという彼なりの推理を展開しており、これがあたかも母親が実在しているかのような錯覚に観客を陥れることに成功している。また、ライラの「相手は病気の老人よ」や、サムの「事の次第は母親が知っているか」など、真相が明らかになる直前までこんな台詞が出てきており、保安官夫婦の証言など簡単に吹き飛んでしまうほど上手く誘導されるのだ。 他にも、多くの方々が書いてらっしゃるので言うまでもないが、4万ドルを持っての逃走から主人公が入れ替わり、連続殺人へと展開するストーリーの組み方や、バーナード・ハーマンの耳を引き裂くような音楽など、クラシック映画の醍醐味を存分に堪能できる一本である。文句ナシの10点! 【もっつぁれら】さん [DVD(字幕)] 10点(2004-06-04 14:38:12) (良:2票) |
264.《ネタバレ》 精神異常犯罪というテーマをここまで掘り下げて、サスペンススリラーに料理してしまう手腕はすごいですね。映画史的には、このテーマを内包した作品はこれ以前にもあったと思いますが、この作品の後、サイコスリラーが量産されたことを考えると、その価値の高さも納得です。使い古されたという感もしなくはないですが、それだけ多くの映画人がこのテーマを描いてきた証拠でしょう。シャワーシーンに顕著に示されるように、ヒッチ監督の見事なモンタージュがこの作品でも効果絶大です。カットを細かく割って、テンポを上げていく手法もありますが、この作品ではむしろ逆です。細かいカットをつないでいきながら、時間は経過させない。キャメラを何度も何度も似たポジションに戻す短いショットの連続。まるでスローモーションのように時間を長く感じさせて緊張感を出していきます。構成もいいです。主人公が死ぬわけないと考えて、安心しているところでシャワーシーンですから、「えっ。死んじゃったの?」って感じで、やっと主人公すら取り違えていたことに気付く。こんな調子ですから、最後の最後まで安心はできないというテンションが持続していきます。ノーマン・ベイツを演じたアンソニーパーキンスも名演で、テーマの先見性に目がいきがちですが、これらの「演出された」恐怖がなければ、金字塔どころか、時代に埋もれていた可能性も否定できないでしょう。もっともスリラーとは往々にしてそうゆうものなのかも知れませんが。 【スロウボート】さん 8点(2004-02-01 11:29:44) (良:2票) |
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263.あの~どこが怖いんでしょうか?全然わかりません。 【イサオマン】さん 2点(2003-01-14 22:21:03) (笑:2票) |
262. 原作は(ラヴクラフトのあからさまな模倣が多く、あんまり感心しない)怪奇小説家ロバート・ブロックの同名小説。だが、ヒッチコック先生はプロットだけ拝借して独自のショック映像に昇華させている。映画の黄金時代が過ぎた後の低予算製作を逆手に取ったチープなモノクロ画面が本作の場合、秀逸な効果を生む結果となった。ヒロインの恐怖の表情と振り下ろす刃物と排水孔に流れ込む水の色の変化を矢継ぎ早にカットバックさせてゆくバスルーム惨殺シーンは正に圧巻の一語。凡庸で下品な監督ならグサッとモロに突き刺したり、血みどろのヌードでショックを煽ったりするのが関の山だったハズ。いくらカット割りを真似ても、オリジナルの足下にも及ばなかったガス・ヴァン・サント版は哀れですらある。本当に、こういうのは「センス」の問題であって、才能の差が明暗をクッキリ分けることを心底実感。当時のアンソニー・パーキンスは若干落ち目とはいえ、好青年のイメージが未だ根強かっただけにノーマン・ベイツ役で観客に与えたインパクトがいかに凄まじかったか、はチョット形容不可能。ギラギラ脂ぎってハナっからイッてしまっているヴィンス・ヴォーンでは到底敵わないのも当然である。ヒッチコックにとってベストとは個人的に全然思わないが、後のホラーやスリラーに与えた影響を併せて考えると傑作であることは間違い無い。 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-05 11:32:26) (良:2票) |
261.《ネタバレ》 これは素晴らしい。ホント昔の傑作って感じ。 やはり私たち観客は主人公に感情移入しやすくなるのが当然だが、主人公の不安を表す描写がまあうまいもんだから、どんどんこっちまで不安になってきます。 逃げ出した後不意に社長と目が合ってしまい、以降は妄想の中で嫌なイメージ(持ち逃げがバレたかのような月曜の朝の会話)を自ら作り上げてしまいます。 また、気付けばどんどん雨が強まり視界が悪くなり、先が見えなくなっていきます。まさに先の見えない不安を背負っている今の主人公の気持ちを表している描写ですよね。 極めつけはあの警察官w あいつまじうぜーw いちいちついてきやがって、見てるこっちまで焦ったりイライラしたり笑。 後ろめたい気持ちを持ってる人間は些細な事でもすごく敏感になりますよね。 ホテルに着いてからは、誰がなぜ主人公を殺したのか?が見所になっていきますが、ノーマンのお母さんは何者?実は保安官が悪者では?それどころか大ドンデン返しでサムかライラが何かの仕掛け人?なんて色々予想を巡らせながら見進める事ができ楽しかったです。 殺人の場面で、犯人がほんの一瞬だけ長い髪で女に見える、という描写が観客に「犯人は女性?」とイメージを植えつけるのもうまいなって思いました。 最終的には、真実を精神科医が完璧にセリフで説明してくれましたが、あれがいかがなものかと思いましたね。 少しの映像とか描写だけで、あれはそういうことか?って匂わせるくらいの方が観客が主体的に考えを巡らす形になってよかったのではと思います。むしろ真実の70%前後しか描写を出さずに、あとは観客が色々憶測を呼ぶとかもありかと。 てか現在(2014年)では、イカれた事をする奴の事を「サイコ野郎」なんて言ったりしますけど、そんな言葉が定着したのもこの映画の影響が強いんじゃないですかねえ。 あとは、ラストシーンでニヤつくノーマンとミイラ姿の母親がオーバーラップするシーンは、その映像のうまさに背筋が震えました。 |
260.《ネタバレ》 50年以上前の映画ですが、さすがのデキですね。 あまりにも有名なバスカーテン越しの刺殺シーンは圧巻でした。 それにしても『お母さん』ご立派な歯をされてましたね。 豪傑ブリがうかがえました。 【ろにまさ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-11-12 10:43:18) (良:1票) |
259.《ネタバレ》 かのシャワー室の惨殺シーンと、モーテルに隣接する小高い位置に古城のようにそびえる不気味な屋敷の外観を別とすれば、後半部分の恐怖は弱いと思います。例えば、探偵を殺害する場面とラストと2回、突如ナイフを片手に襲ってくるわけですが、この唐突さはブルブル震え上がるような純然たる恐怖ではなくビックリドッキリの驚きの方が強いです(とはいえ、探偵が階段を登り刺されるシーンを頭上からとらえているのは好きだ。しかも母親の存在を信じさせるためにノーマンが彼女を運ぶシーンの後は、あの部屋は危険ではなくなるので妹が調べに来る時は階段を登っているシーンは省かれ、階段は完全に恐怖の装置として機能している)。その一方で前半の逃亡部分は恐怖に満ちています。サングラスをかけた警官はこの世で最も怖い存在に見え、後を着けられた日にはもう生きた心地などしませんし、大金を持ち逃げしているかもしれないという状況があるだけで、道端で社長と出くわすという何ということもない状況が心臓バクバクのシーンへと変貌しています。両方のシーンがどこか日常的であるという点も恐怖心をあおいでおり、単純なシチュエーションで見事に恐怖を演出しています。それとこれは音楽の効果が凄いです。・・・それにしても最初の外からカメラが入ってゆくシーンはどうやって撮ったんだ? 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-12-28 18:27:08) (良:1票) |
258.《ネタバレ》 予備知識なしで観るにしても、有名なシャワーシーンだけはとっくに知っており、だから彼女がシャワーを浴びながらどうなるかは分かっていたのに・・・。分かっていたはずなのに、初めて見た時はガーンと頭が真っ白に。お金を盗って逃げた彼女の運命やいかに、というスリルにまんまと引き込まれていたのに、「えっ! え~~~~っ!???」と、彼女の運命など心配する必要のない事態へシャキーンと唐突に断ち切られる。じゃあ、そこから先に何を見続ければ良いのかってところが、彼女に突然降り掛かる予想外の運命を起因にスタート。この作品に関してはヒッチコックへの評価より、この斬新な展開を考えだしたシナリオライターに高い敬意を持ちます。初めて観たときは全くの作り話だと思っていましたが、現実にあった犯罪をもとにした原作本があったんですね! そこから大胆に観客を欺く導入を付け足した脚本家のアイデアがすごいなと思いました。で、もちろんそれをしっかりセンスある映像に仕上げたヒッチコックも素晴らしい。この作品は、怖い怖くないのレベルで観るよりは、美術館のモノクロ写真展を観るような気持ちで接した方が、得るものがあるような気がします。シャワーシーンを筆頭に、この映画の映像は『アート』だなと感じます。そして、全く動かないジャネット・リーの瞳はそれこそ静止したフォトをカメラでなめているのかと思いきや、そこから雫が滴って動いた時には驚きと感心のため息が漏れました。 【だみお】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2010-09-23 10:22:07) (良:1票) |
257.《ネタバレ》 白骨になったりミイラ化してる家族と同居してた、って最近の“消えた高齢者”事件で、「そうか『サイコ』ってけっこうリアリズムだったんだ」と慄然とさせられた。少なくとも、我々の日常とどこかでつながってる話だったんだ。この二段構えの独特の構成、前半ではいたって「分かりやすい」犯罪、金を目にして魔がさす事件が展開する。変な言い方だが、日常的な犯罪。それが後段になると、より深いレベルの魔の世界に入り込んでいく。前半でしばしばクローズアップされていた事件の中心である大金が、あっさり車とともに沼に沈んでいく。より深い魔に。「分かりやすい」事件が、より暗い世界に包み込まれていく。この構成、作品全体の整いという点から見ると屈曲しているようでいて、それなりの筋が通っており、観客にとっては迷宮感を増すことになる。「犯人」が唐突に消え、次に「探偵」が消え、じゃあ誰がドラマを仕切るのだ、って。観客は実に心細い気持ちでこの手だれのスリラーを観続けねばならない。それにしても死体と同居していた事件を「年金詐欺」レベルで納得してしまう日本のマスコミの情けなさ、あれってジャネット・リーがベイツ・モーテルに到着したところで『サイコ』観るのをやめてしまったようなもんじゃないか。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-09-21 09:50:29) (良:1票) |
256.《ネタバレ》 ストーリーを知らなかったので、当然、最初に出てきた女優がメインで話が進んでいくものと思っていましたが、話が半分くらいまできて主役チェンジ(?)の思い切りに驚かされました。 白黒の映像により、恐怖感や得体の知れない感覚が増幅されていたのもよかったです。 結末は予想どおりで意外性は感じませんでしたが、そんなことで評価は下げようとは思いません。おそらくオチの予測がついたのは、後年に小説やら漫画やらが何らかの形でこの類の結末を用いているからだと思います。 【午の若丸】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-02 18:21:22) (良:1票) |
255.《ネタバレ》 何度も見ているので有名なシャワーのシーンのタイミングも、ラストのオチも、全て知っている。しかし、何度観ても丘の上に立つベイツの家の佇まいがゾッとするほど不気味です。この家を丘の下から捉えるシーンが何度も出てくるが、この家にはヒッチコックの相当なこだわりが感じられます。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-12-18 21:19:12) (良:1票) |
254.《ネタバレ》 恐怖を120パーセント堪能するため,深夜12時からのひとりレイトショーを敢行した。オープニングの音楽だけで,不安と緊張が高まってきた。そしてサクッ,サクッと振り下ろされるナイフ。ブスリ,でもグサリ,でもないあの斬りつけ方が,犯人の異常な心理を表しているようで,背筋が凍る思いがした。最後にひょろりとしたノーマンが女装して現れたとき,彼の姿が間抜けに見えるどころか,あんなにも恐ろしい存在に見えることに,この映画のすさまじさを思い知った。極上の恐怖を味わえて大満足だったが,その後絶対怖い夢を見るのが目に見えていたので,リトル・ショップ・オブ・ホラーズを見て,自分を励まして眠りについた。 【さそりタイガー】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-06-19 23:23:42) (笑:1票) |