ゴジラ(1954)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ゴジラ(1954)

[ゴジラ]
GODZILLA:KING OF THE MONSTERS
1954年上映時間:97分
平均点:8.22 / 10(Review 185人) (点数分布表示)
公開開始日(1954-11-03)
ドラマSFラブストーリーシリーズものモノクロ映画パニックもの特撮もの小説の映画化モンスター映画
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2023-07-16)【イニシャルK】さん
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監督本多猪四郎
助監督梶田興治
竹林進
キャスト宝田明(男優)尾形秀人
河内桃子(女優)山根恵美子
平田昭彦(男優)芹沢大助
志村喬(男優)山根恭平
鈴木豊明(男優)新吉
堺左千夫(男優)萩原(新聞記者)
村上冬樹(男優)田辺博士
山本廉(男優)政治(漁夫)(新吉の兄)
馬野都留子(女優)新吉の母
高堂国典(男優)老漁民
小川虎之助(男優)南海汽船社長
中島春雄(男優)変電所技師
菅井きん(女優)大沢婦人代議士
恩田清二郎(男優)大山代議士
瀬良明(男優)代議士
勝本圭一郎(男優)代議士
藤木悠(男優)栄光丸無線技師
佐原健二(男優)新聞記者/遊覧船の乗客
手塚勝巳(男優)新聞社デスク
今泉廉(男優)無電課長/海上保安庁係官
牧壮吉(男優)海上保安庁係官
岡部正(男優)田辺博士助手
向井淳一郎(男優)新聞記者
緒方燐作(男優)対策本部員
佐田豊(男優)対策本部員
広瀬正一(男優)代議士
三田照子(女優)松坂屋前で死を待つ母親
榊田敬二(男優)大戸島村長 稲田
橘正晃(男優)テレビ塔のGHKアナウンサー
池谷三郎(男優)しきねのGHKアナウンサー
加藤茂雄(男優)自衛隊員
川合玉江(女優)大戸島の娘
記平佳枝(女優)看護婦
堤康久(男優)大戸島村民
津田光男(男優)
宇野晃司(男優)対策本部員
吉頂寺晃(男優)
岡豊警戒警報のアナウンス
原作香山滋
脚本本多猪四郎
村田武雄
音楽伊福部昭
作詞香山滋「平和への祈り」(ノンクレジット)
作曲伊福部昭「平和への祈り」(ノンクレジット)
撮影玉井正夫
逢沢譲(撮影助手)
製作田中友幸
配給東宝
特撮円谷英二(特殊技術)
有川貞昌(特殊技術 撮影)
富岡素敬(特殊技術 撮影)
高野宏一(特殊技術 撮影助手)
円谷一(特殊技術 撮影助手)
向山宏(特殊技術 合成)
渡辺明(特殊技術 美術)
井上泰幸(特殊技術 美術助手)
岸田九一郎(特殊技術 照明)
作画育野重一(絵コンテ)
美術中古智
北猛夫(美術監督)
大橋史典(造型)
録音下永尚
田中信行〔録音〕(録音助手)
照明石井長四郎
小島真二(照明助手)
スーツアクター中島春雄ゴジラ
手塚勝巳ゴジラ
その他伊福部昭(「平和への祈り」指揮)
キヌタ・ラボラトリー(現像)
あらすじ
太平洋沖で漁船が次々に沈没するという事故が起こった。遭難地点に近い大戸島では、暴風雨の夜に建物が崩壊。何か巨大なものに踏み潰されたとしか思えないと、古生物者の山根博士(志村喬)一行が調査に出かける。彼らが見たのは、島を練り歩く巨大な怪物だった・・・。本作はあらゆる怪獣パニック・ムービーの元祖であり、世界中で大ヒット。特撮史に「Godzilla」の名前を轟かせた。
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185.《ネタバレ》 日本ほど特撮怪獣が沢山創られた国はないでしょう。主にウルトラ怪獣ですが、ゴモラ、ゼットン、バルタン星人と、きっとどの世代でも名前くらいは知っているんじゃないでしょうか?そんな中で、元祖であり王者と言える怪獣がゴジラです。
私はちょうどゴジラ空白の世代でした。小さい頃、ウルトラシリーズは沢山再放送されていましたが、ゴジラ映画は観たことなくて。子供向けの雑誌などから『人類の味方として、悪い怪獣と戦う正義のゴジラ』なんてイメージがあった程度でした。そんな中“まだ白黒映画の時代、最初のゴジラは人類の敵だったんだよ。そして今度公開されるゴジラ('84)も、悪者なんだよ。”なんて聞いて、何かとても不思議な感じでした。

本作を最初に観たのは20歳くらいの頃です。街の焼ける様子、逃げ惑う人々から、まだ戦後間もない印象をとても強く感じました。公開年は、戦争が終わって僅か9年。でも僅か9年でここまで復興している日本の逞しさと、ゴジラという巨大なモンスターを創り上げた日本の受けた傷の深さが感じられました。
アメリカの水爆実験が生んだ怪獣ゴジラが、本土に上陸して無目的に都市を破壊する。令和に入った現在に至るも、唯一無二の被爆国として、当事者のアメリカ人を主要人物に出すことなく、原水爆を表現した作品と言えるでしょう。

どうしても後年のシリーズ化したゴジラのイメージに引っ張られていたため、今回始めてゴジラのデザインが理解できた気がしました。モノクロ映像のゴジラの、黒くゴツゴツしたあの皮膚は、水爆の高熱で表皮が焼け焦げてたんですね。
背中のヒレは皮膚に刺さったガラス片でしょうか。そしてゴジラは苦しみの叫び声を上げながら、自ら焼け野原にした東京の街を彷徨います。
本作公開の僅か9年前に、他国により自分の国が焼かれる地獄を観た人々が作った地獄絵図。この映画からは、他国に国を焼かれた恨み節より、日本をここまでしてしまった、原爆が落ちるまで戦争を続けてしまった、自ら国を焼け野原にしてしまった、そんな自責の念が感じられます。

山根教授のゴジラを保護し、生命力の研究をするべきだという主張は、今なお放射能被害に苦しむ被爆者たちを救うことが出来たらという気持ちからでしょう。そう考えるとオキシジェン・デストロイヤーは、例えるなら苦しみから逃れるための安楽死に思えます。
芹沢教授がオキシジェン~の研究成果ごと死を選んだ結末は、どんなに苦しくても前だけを見て生きていく。そんな日本の決意にも思えます。
本作を観てどう思うかは人それぞれですが、戦争で受けた傷を娯楽映画にしてしまう日本人のパワー。創意工夫。結果本作は、世界でいちばん有名な日本映画の一つになりました。
K&Kさん [ビデオ(邦画)] 8点(2024-04-03 23:51:41)(良:5票)
184.《ネタバレ》 機会あり、やっと鑑賞できました。ゴジラ映画の原点にして頂点みたいな扱いですが、…申し訳ありません。先人や諸兄皆様が口をそろえて称える様子に同調できませんでした。戦後十年足らずで作られた水爆と戦争へのアンチテーゼ映画ととるべきですね。そこだけは解ります。あの平和の願い?みたいな重々しく暗い合唱で芹沢博士は決心したけど、そこも何とも…。以下は印象に残った点。

*田舎なら浜辺から全長50mものモンスターが上陸しても出現まで誰も氣付かないのか。
*戦後10年足らずで、日本の一大事だってのに米軍が関与する様子もない。
*初代ゴジラが口から吐くのは放射能火炎じゃなくて溶解液と発火液の二種類だった。
*既に台風と地震のコンボ並の大災害を引き起こしているゴジラを『殺さず研究すべきぢゃなゐか』とか呑氣な事言う大先生。
*全長50mの直立怪獣に対して手回しガトリング砲を打つ自衛隊(江戸時代末期の武器だろこれ)。
*全長50mの直立怪獣に対して戦闘機から放ったミサイルを20発くらい外してる自衛隊。
*全長50mの直立怪獣が目前に迫ってるのに実況リポートを続けた挙句殉職しなければならない当時のマスコミが可哀そう。
*えみこさんと緒方さんと芹沢博士の美形ぶりは令和の今でもちょうど良い。流行は巡る。
*菅井きんさん演じる野党議員のキャラクターも、令和の今でもいますよね。流行は(ry
*足跡発見時ならまだしも、海中にいるゴジラへの船での接近時にまで防護服無しの民衆と科学者。
*なぜ、緒方さんだけ引き上げられたのか?
*芹沢博士が右目が不自由な理由をストーリーに関わらせれば深みがでたのでは。

重ねて、この映画に高得点付けた皆様すみません。さほど怖くもない怪獣映画といった印象でした。
役者の魂さん [ブルーレイ(邦画)] 5点(2019-10-02 20:40:56)(良:1票)(笑:2票)
183.《ネタバレ》 日本映画界に燦然と君臨する金字塔的本作だが、あまり良くできた作品とはいえない。全体にメリハリの無いいきあたりばったりのストーリー展開。特に芹沢の“科学者としての良心”という最大の葛藤はゴジラがゴジラであることと直接関係無いのは致命的欠陥だ。折角ゴジラという魅力的なキャラクターを創造しておきながら、肝心のドラマがそれを生かしきっていないのだ。あれでは芹沢が特攻に追い込まれる要因を作るのがたまたまゴジラだっただけで、強大な敵なら米軍でもムー帝国人でもなんでも代替え可能ではないか。ほとんど意味のない三角関係を持ち出すところにもそこらへんの見識の無さが現れている(個人的には山根博士の心情「ゴジラを殺したくない」にテーマを絞ってドラマ作りをすれば良かったのではないかと思う)。他にもドラマパートの凡庸なカメラワーク、及び宝田氏と河内嬢のあまりにも一本調子な演技には閉口してしまう。たしかに特撮シーンは素晴らしい。その点は多くの論者によって語り尽くされているとおり。しかしこの手の作品に期待させるカタルシスが、ドラマの練り込み不足とタメのないぬら~っとした構成のせいで台無しになっている。古い作品ということは言い訳ににならない。なんと言っても1954年には「七人の侍」が公開されているのだ。それでもゴジラが世界的名声を勝ち得たのは、ひとえにそのキャラクター性の強さによるものだ。そしてそのキャラクター性に決定的な貢献をしているのは、あの咆吼を設計した音楽の伊福部昭氏の独創性だと思う。あれこそがこそがゴジラをこの世ならざる、生物を超えた存在と感じさせる最大の要因ではないか。海外で作られた怪物映画の声の凡庸さをみるにつけ、伊福部氏の存在の大きさを感じないわけにはいかない。
皮マンさん [地上波(邦画)] 5点(2009-12-10 00:51:35)(良:2票)(笑:1票)
182.リアルタイムで見たわけではないこういう映画をどう評価するかはほんとに難しい。
僕は、東宝チャンピオン祭りでゴジラを見ていた世代だから。(キングギドラやミニラを先に見てるんだよねぇ、いやキングギドラは大好きです^^)
伊福部の音楽や「ゴジラがこちらに来ます」の名アナウンス等、映画の中に好きな要素はたくさんあるが、
オキシジェンデストロイヤーで魚が骨になるシーン等、初見の時点ですでに笑っちゃうようなしょぼいシーンも結構あり、
(なんで酸素を破壊すると骨になるんだよ..)
また、モノクロ映画だったが為に粗が目立たなくて助かってる面や、独特の重厚さをかもし出せてるのかな、と思える面もあり。
  歴史的意義など考慮し始めると神格化が発生し点数つけれらませんのでとりあえず素直に点数つけて....
しかし、ゴジラに低い点数つけるのは黒澤映画に低い点数つけるのより勇気いりますね。
あばれて万歳さん 6点(2004-06-18 14:08:09)(良:3票)
181.モノクロ映像がとんでもない迫力を生み出しています。戦争で焼け野原になってから10年近く経ち、傷跡を残しつつも徐々に復興してきた東京、そこにまた核実験によって生み出されたゴジラが現れ、容赦なく火の海にしていきます。人々はなすすべも無く逃げまどい、ただ「チキショー」とか叫ぶんですね。泣けました。
鱗歌さん 9点(2003-07-13 15:26:35)(良:2票)(笑:1票)
180.《ネタバレ》  「ゴジラ」(1954年)とは、芹沢大助という人間の物語である。
 ……というのが自分の持論だったのですが、此度再鑑賞してみても、やはりその持論は揺らぐ事が無かったです。

 そもそも本作のストーリーラインって、剽窃や盗作と言って良いぐらいに「原子怪獣現わる」(1953年)そのままだったりする訳ですが、そんな中で最も独自性を感じさせるのが芹沢大助の存在なんですよね。
 一応は主人公と呼べるはずの尾形秀人の影が薄いというか、出番が少ない事も、そう感じさせる一因。
 自分としては「芹沢が主人公であり、尾形は主人公の最期を看取ってくれる存在」と、そう考えてしまうくらいに、芹沢博士のキャラクターは魅力的だったと思います。

 とはいえ、そんな「隻眼の天才科学者」に魅了されるだけの映画って訳ではなく「芹沢博士が登場していない場面」あるいは「ゴジラが登場していない場面」も、しっかり面白い辺りが、本作が傑作たる所以ですよね。
 後者に関しては特に重要であり「怪獣が出てこない場面でも面白い怪獣映画」と感じさせるのって、本当に凄い事なんじゃないでしょうか。
 世に怪獣映画は数あれど、その大半は「怪獣が出てくる場面は力が入っていて面白いけど、出てこない場面は退屈」って品だったりしますからね。
 本作に関してはゴジラを「原爆の象徴」「戦争の恐怖を思い出させる存在」として描いたのが大正解であり「ゴジラに怯える人々」や「何とかしてゴジラに対処しようとする人々」を描いた人間パートも抜群に面白いというのが、怪獣映画の歴史の中でも画期的な部分だったように思えます。
 空襲の記憶が鮮明な時期に撮影された影響ゆえに、逃げ惑う人々の演技にリアリティが有るって点も「怪獣」という突飛な存在に実在感を与えているし、ゴジラの襲来によって「井戸が使えなくなる」という描写にも、恐ろしさを感じましたね。
 後々のゴジラ映画とは異なり、ゴジラの熱線が「熱い」というより「冷たい」印象を受ける音であった点も、非常に印象深いです。

 その他、ゴジラの存在を公表すべきと主張する「強い女性」的なキャラクターが登場しているのも興味深いとか、劇中に「美女とゴジラ」という看板があるのは、キングコングへのオマージュな気がするとか、語りたい事柄は沢山有るのですが……

 やっぱり、この映画の一番の語り所と言えばもう、芹沢博士の最期を措いて他に無いです。
 別れ際、かつての婚約者と、その恋人に掛ける「幸福に暮らせよ」という台詞も悲しいし、単なる自己犠牲の美しさだけでなく「芹沢博士は、人間を信じられなかった。だから禁断の新兵器もろとも自分も死ぬ道を選んだ」という哀愁も描いているのが、たまらないんですよね。
 彼はゴジラに勝利した英雄であると同時に、人類に絶望して自殺した敗北者でもある。
 この構図は実に悲劇的だし、それほどに人間を信じられなかった彼が、それでも愛していた女性と、その恋人に対しては「幸福に暮らして欲しい」と願って死んでいった事にも、切なさを感じます。

 ゴジラを倒した後、マスコミが嬉しそうに伝える「この感激、この喜び、ついに勝ちました!」「若い世紀の科学者、芹沢博士は遂に勝ったのであります」という言葉に、なんと空しい勝利なんだと思える辺りも、皮肉な味わいが有って好きですね。
 ゴジラの保護を訴えていた山根先生が「もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類が、また世界のどこかに……」と教訓的な台詞を吐き、敬礼で終わるラストシーンも、勿論良いんだけど……
 自分としては、マスコミの白々しい「勝利宣言」に合わせる形で、人々が敬礼を行う場面で終わっていたとしても、それはそれで名作に仕上がっていたんじゃないかって、そんな風に思えました。
ゆきさん [インターネット(邦画)] 9点(2024-11-13 15:00:17)(良:2票)
179.記念すべき「ゴジラ」第1作目、1954年製作ですね~ 当時としては、かなり良い出来なのでは.. ただ、今観ると 3点 かな..頑張ってはいるのだけど、今観るとねぇ..この点数...
コナンが一番さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-12-23 18:34:51)(笑:2票)
178.《ネタバレ》  シン・ゴジラ(2016年)の公開を機に投稿いたします。
 当作品を観たのは、GODZILLA(1998年)が公開されるずっと以前。原子怪獣現わる(1953年)を観た後でした。『太古の巨獣が核実験で目覚める→都市で暴れる→新兵器で倒される…』というストーリーラインこそ、前年発表の米映画『原子怪獣現わる』をなぞったものだとは思ったものの、「反戦/核の脅威への警鐘」といった真摯なメッセージを組み込んで見事にオリジナリティーを獲得していると思いました。
 ただし、その後に、私はビデオで怪獣王ゴジラ(1956年)という作品も観ました。これは【来日したアメリカ人記者が、ゴジラに遭遇する】という海外向けの再編集版であり、1作目のメッセージ性を見事に削ぎ落としていました。後年、ある本で海外の書評を読みましたが…「都市の破壊シーンは迫力があるが『原子怪獣現わる』のように、何故、怪獣が現れたのかの説明がない。しょせんは二番煎じであり『原子怪獣現わる』には遠く及ばない」という趣旨の文面に複雑な気持ちになったものです。GODZILLA(1998年)が公開された当時も「1作目と比べてどうか」という評論はたくさんありましたが【日本人が語る1作目】と【アメリカの人々が語る1作目】では、かなりの温度差があると言っていいのではないかと思いました。
 さて、採点ですが…当作品の優れた点は、他のレビュアーさん達がおっしゃっているので、私がここで繰り返すまでもないかと思います。日本が生み出した傑作として文句なく10点を献上します。

*令和6(2024)年8月4日(日) 追記
 【ゴジラ-1.0】の鑑賞を機に、当作品もDVDをレンタルして観直しました。あらためて、ドラマの映像・演出からは“人々の生活感や温もり”が伝わってくる思いがしました。漁村の場面は勿論、山根博士の自宅の様子も(博士の部屋は、いかにも“研究者の書斎然”としていますが…)、畳を基調とした居間の描写は質素で、いわゆる「庶民とかけ離れた生活をしている」という印象は受けませんでした。このように人々の生活に根差した描写を積み重ねたからこそ、ゴジラがもたらした災害による悲惨さが際立ち、かつ、「オキシジェン・デストロイヤーを、命を奪う兵器として為政者に利用されたくない」と、ゴジラと命運を共にする芹沢博士の姿に説得力を持たせたのではないか…と思われます。もちろん実写の映像自体は、撮影を担当した玉井正夫氏のお力によるものかもしれませんが、本多猪四郎監督に確固たるポリシーが無ければ、こうはならなかったでしょう。あらためて本多監督の誠実な姿勢に敬意を表します。
 特殊撮影については、“現在の視点”で観ればチープに映っても仕方ないかもしれませんが…少なくとも私は“当時の現場の人達の試行錯誤に思いを巡らせながら観るという視点”に立つので、「よくぞ、これだけの映像を…」と、円谷英二氏をはじめとするスタッフの皆さんに敬意を表さずにはいられません。
 いずれにせよ、原子怪獣現わる(1953年)が元ネタになっているとはいえ、【それに便乗し『その場限りで儲かればいい』と考えて安易に作られた手抜きだらけの作品】ではないことは確かでしょう。
 以上、【ゴジラ-1.0】の鑑賞を機に、私は、当作品の偉大さを再認識できました。広島・長崎に原爆が落とされた8月6日・9日に近い日の投稿ということもあり、「唯一の被爆国であり、戦争によって深く傷ついた日本だからこそ生み出すことができた」という当作品の重みを胸に、投稿を締め括らせていただきます。
せんべいさん [ビデオ(邦画)] 10点(2016-08-06 15:13:14)(良:2票)
177.《ネタバレ》  それまで怪獣バトルの映画シリーズとしてしか、ゴジラを知らなかった私は、今から約30年前、高校を卒業した頃にやっと、これを見て驚いた。怪獣映画ではあるが、一般のパニック・サスペンス映画として、たいへん優れていると。

 発端の事故から、次第に事の真相が明らかになってきて、その正体を現す厄災。船なんか3回も沈められて、まだ姿を現さない。この焦らし方、ゾクゾクさせるやり方は、サスペンスの定石だ。どう結び付くのかわからないサイドストーリーが、解決に結び付くさま。そして、何と言ってもゴジラの銀座での大暴れ。俯瞰のショットを巧く使っているとはよく言われることだが、もう一つ、計算ずくなのかどうか不明だが、黒つぶれで、全てをくっきり見せるわけではない画面、それによる恐怖。実に見事なパニック映画だ。
 そして、ゴジラが評価されている最も大きな理由、ゴジラの精神的柱とも言える、核兵器への批判、反戦・平和への主張。長崎から逃げてきた女や、戦争によってお父さんを失った家族などを巧みに描写して、戦争・原爆の記憶を引き出し、その恐怖とダブらせて、巨大生物を見せる手管。全く見事だという他ない。
【訂正】俯瞰ではなく仰観でした。
Tolbieさん [DVD(邦画)] 9点(2012-10-31 22:54:00)(良:2票)
176.《ネタバレ》 志村喬が「七人の侍」で勘兵衛を演じた同じ年にこの映画は公開された。その志村喬が「私は見た、確かにジュラ紀の生物だ」と言った直後に山の峰の向かうから顔をのぞかせる異形の怪物。圧倒的なスケールに被さる巨大な咆哮。ゴジラの歴史が始まった瞬間だった。1954年と言えば、終戦から10年足らず。その時代背景を考えるとリアルタイムで観た人にはかなりショッキングな映画だっただろう。ゴジラ上陸によって、芝浦から上野にわたって焼け野原と化した東京湾岸は、戦争体験者には悪夢の繰り返しに映ったはず。さながら野戦病院の様相の混乱の中で、親を失くした子供が泣いているようなシーンはその後のゴジラ映画には無い。人間ドラマのパートもシリーズを通してこの作品が最もしっかり作られていると思う。偶然にも自分が発明してしまった兵器と一緒に命を絶つという発想は、当時の日本だからこそ出来たのではないかと思う。戦争はもとより、核兵器の量産や兵器開発競争への警鐘というテーマが色濃く出た名作。
アンドレ・タカシさん [地上波(邦画)] 9点(2008-11-18 22:17:06)(良:2票)
175.その後人気者になるとは到底考えられないほどゴジラは「怪獣」であり、核の化身であった。この映画は原爆を唯一落とされた国の悲痛なまでの叫びそのものだ。人が死に、街が破壊される描写をもって「反戦映画」とするなんて子供っぽい発想で終わらない。この映画は原爆を作った科学者たちをも許さぬと言っている。特撮もゴジラの造形もゴジラの鳴き声も、そしてゴジラのテーマもとんでもなく素晴らしいから「ゴジラ」がその後一人歩きしてゆくのだが、この第一作は作り手のメッセージというにはあまりに痛切な想いが詰まっていて、たぶんその強烈な思念が画面に漂っていて作品に風格をもたらしている。この異質ともいえる風格は、今後どんなに素晴らしいゴジラ映画が生まれてもけして真似のできない代物である。
R&Aさん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-28 19:08:01)(良:2票)
174.邦画史上最高の、人類愛と平和を訴えた究極の到達点。映画というメディアが存在し続ける限り、1954年は「ゴジラの誕生した年」として記憶されるだろう。ゴジラ、そしてオキシジェン・デストロイヤーと一緒に海中に消えた芹沢博士の涙は永遠に人類への警鐘となる。
Nbu2さん [映画館(邦画)] 10点(2008-01-30 23:22:46)(良:2票)
173.《ネタバレ》 日本が世界に誇る怪獣王ゴジラ。今でこそ何も考えていないような作品になってしまっているけど(決して嫌いではない)、オリジナルはそれらとは一線を駕した、別格の存在であった。特撮の部分でみてみると、戦争終結後9年足らずだというのに、ここまでの臨場感を出しているという事にまず驚かされる。東京が火の海と化す場面などは実に見事であり、娯楽映画を見たいと思っている者にとってこの崩壊場面は充分満足のいくものだと思う。殆どが戦争体験者であろう、エキストラの人々の逃げ惑う姿、これはもう、ただの演技だとは思えない部分がある。きっと、苦い思い出がフラッシュバックした人も居るのではないかと思ってしまう。しかし、本来の娯楽映画のような晴れやかな気持ちになれるかといったら、そうではない。それはラスト、日本中を破壊したゴジラが死ぬ場面。本来ならここで憎い化け物が死んで大団円となってもおかしくないところであるが、本作はそうではなかった。自らが核の被害を受け、出すぎた人間に対し警告の意を込めてやってきたにも拘らず、原因を作った張本人である人間によって滅ぼされるゴジラ。そして、自らの発明品が悪用され、人類を滅ぼす手段の一つとして加えられる事を良しとしなかった芹沢博士の選択。これらは、人間の愚かさ、そして倫理観のあり方を痛烈に語っていると思う。娯楽映画として、特撮映画として語られる事の多いゴジラであるが、初代の作品は、それだけで語るには、余にも重過ぎる内容であった。
クリムゾン・キングさん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-30 01:38:19)(良:2票)
172.これはすごい。「ゴジラは子供向けの、ちょっと憎めないカワイイ怪獣なんだぞ、悪い奴もやっつけちゃうぞほれほれかっこいいだろゴジラって」というイメージしか“ゴジラ”に対して抱いていなかった私は、甘かった。“ゴジラ”はれっきとした大人向けの社会派映画であり、また反戦映画でもあります。ゴジラは、人間が水爆実験という形で生み出した、いわば“兵器”の象徴であると、私は考えています。人々が恐れおののき、逃げ惑う場面など、まさに“兵器”。建物が次々となぎ倒され、街全体が火の海と化してしまう場面は、“大空襲”などという言葉を彷彿とさせます。かといって、ゴジラは人類にとって憎むにたるべき存在であるかといえば、そうではない。ゴジラは、本来ならそこにいてはいけない、いるはずのない存在。それなのに、人間の勝手な操作により生み出されてしまった、いわば「哀しい存在」なのです。人類にとって本当に憎むべきはゴジラではなく、人類そのものなのかもしれません。


……とまあ、真面目に語ってみましたが、この映画、純粋に面白かったです。54年だし、白黒だし、さぞかし映像もしょぼいのだろうと思ったら、全くそんなことはない。むしろ今のゴジラよりはるかにインパクトはあり、恐怖感、そしてリアリティもありました(ヒッチコックの『サイコ』みたいな怖さですね)。白黒だからこそ出せるこの恐怖感。まあ今のゴジラ映画に白黒にしろとまでは言いませんが、少しはこの頃の気持ちに戻ってほしいものです。


と、いうワケで、文句なく10点献上!上記の通り、ゴジラはヒトによって生み出された“哀しい”存在。昔軽率に「生まれ変わったらゴジラになる!!そして学校を踏みつぶす」とか言っちゃってごめんねゴジラ…。ほらっエメリッヒも一緒に謝んなさい!!
Ronnyさん 10点(2004-11-16 00:28:20)(良:2票)
171.当時のスタッフの心意気を強く感じるんです。「怪獣映画を作ろう 同じ作るなら子供向けってだけじゃなく世界に通用するヤツにしよう そうだ世界の度肝を抜いてやれ! 日本の映画産業ココにあり!っていう怪獣映画さ! で、日本人ならではって何だ? 日本ならではのテーマ『ヒロシマ・ナガサキ』さ! よしタブーに挑むか! ビキニ環礁の実験があったばかりだからな!」全編から、そんな言葉が聞こえてきそうだ。すさまじい勢いがある。きっと撮影の現場も熱かったことだろう。この熱気はそのままフィルムに焼きついたかのように、半世紀以上たっても現代の観客を圧倒する。このフィルムが映写機で回り出すと、日本映画の復興に掛ける男たちの思い、被爆と終戦の悲しみ、失意、憎しみ、もう全てがない交ぜになった怨念とも執念ともつかない、エネルギーが噴出してくるような錯覚に襲われる。そう思うとゴジラの、あの白目をひん剥いたような眼!まさに日本映画が世界に向け“ガン”を飛ばしんたんだな。確かにこわい。未だに僕はビビってしまいます。
BUNYAさん 10点(2004-01-02 21:29:24)(良:2票)
170.改めて観ると、やっぱりいろいろ凄い。
60年前の特撮映像そのもにフレッシュな驚きは勿論無いが、60年前にこの映画をリアルタイムで観た日本人はの恐怖と興奮は容易に想像でき、その「驚愕」が大変羨ましい。

ゴジラ映画の本質であるこのオリジナル作品の根底にあるものは、やはり「畏怖」だと思う。
未知なる巨大生物への畏怖、それにより生活が人生が文字通り崩壊される畏怖、そしてその発端は我々人類の所業そのものにあり、この悲劇自体が何ものかによる戒めであろうという畏怖。

この60年前の特撮映画が、ただの娯楽映画として存在したわけではなく、日本国内はもとより世界中において尊敬の念をこめて愛され続けたのは、まさにその神々しいまでの恐怖感によると思う。


一方で、改めてこの映画を鑑賞しなおしてみると、当時の日本の風俗や人々の価値観が如実に表れていてそれはそれで興味深い。

“オキシジェンデストロイヤー”を開発した芹沢博士は、実は時代に翻弄された悲恋をまとった人物で、映画的に捉えるならば本来もっと自暴自棄になってもいいはずなのに、最終的にはあくまで人道的に己の命を捧げる様は、悲しくて仕方がない。

名優・志村喬が演じる山根博士も、いかにも人格者的な古生物学者として振る舞ってはいるが、一人ゴジラの生態究明に固執する様は少々異様ですらあり、その目は時に狂気じみていた。

細かい所だと、菅井きんが演じていた婦人代議士の国会での熱弁の様だったり、死を覚悟して最後の放送を続けるテレビ塔のアナウンサーの様だったり、時代を感じる人間性やキャラクター設定が、60年後の今だからこその味わい深さになっていると思える。

また随所に散りばめられている戦争の傷跡と、反戦・反核へ警鐘も、決して仰々しいわけではないが実に切実に生々しく描かれている。
通勤電車での「また疎開はいやだなあ」という会話だったり、「もうすぐお父ちゃまのところへ行けるのよ」という母親の言葉だったり、ゴジラ急襲後に放射能反応を示される子どもたちの姿だったり……。

前代未聞の娯楽性の中に、この国が背負った明確な傷跡と、自らを含めそれを起こした人類への怒りを刻み込んだからこそ、この特撮映画は「特別」なものになったのだろうと思う。
鉄腕麗人さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2003-09-29 12:12:36)(良:2票)
169.この映画を初めて見たと同時に初めて怪獣映画を見た。もう衝撃を受けまくりだった。いまではこれほど素晴らしい映画は作ることは出来ないだろう。そして、これからも怪獣映画の金字塔として永遠に残っていくだろう。それにしても、ゴジラって海の中でなにしてるんだろ。結構気になるなぁ。寝てんのかな・・・。
M・R・サイケデリコンさん 10点(2003-01-12 00:49:07)(笑:2票)
168.単に怪獣映画という事なかれ!“空想科学映画”の言葉すら一般的に無かった時代の、これは紛れもなく日本映画史に残る傑作であり、そのキャラクターは日本のみならず世界中を席巻している。核兵器反対というテーマを、つけ足しではなく正面に堂々と打ち出している唯一の作品でもあり、又、ゴジラが現れるまでの不安な状態と異常なパニックの描写が優れていて、特撮シーンと本編とを違和感なく成立させているなど、円谷英二特技監督も当時の不自由な器材を使って最大限の効果を上げている。後年シリーズ化されたものは、この作品の蛇足に過ぎない。
ドラえもんさん 10点(2001-03-02 01:38:48)(良:2票)
167.期せずしてBSで放映されたのを見つけ他の予定を切り上げて鑑賞。残念ながらリアタイでは観ておらず、前回鑑賞は恐らくNHKで初放映された時だったのではないかと。どういう形であれその後はキチンと全編通して鑑賞してはおらず、とすれば57年ぶりの鑑賞ということになります。

なので只管に懐かしい。されど懐古趣味に留まることなくグイグイと画面に惹き込まれる魅力。流石に台詞回しや役者さんの演技には時代を感じるものの、他は全て古さを感じることなくCGやVFX等々全開の近年のモンスターものやデザスターものにまるで引けを取らない素晴らしさ。70年の歳月を経た現代に至るまで絶賛され続けていることに異論なしです。

その後に続く様々な怪獣ものをリアタイで親しんだ身としては、それらの作品や怪獣を否定することは決してありませんが、矢張り本作は間違いなく金字塔。現代の視点等々に照らし合わせれば「?」な点も多々あるとは思います。しかし、70年前に製作されたことを鑑みれば全ての疑義は単なる野暮。満点を献上させていただきます。

ちなみに、宝田さんのとんでもないカッコよさ、河内さんの眩しいまでの可憐さ、それだけ観ていても本作は満足極まりない作品と思うところです。
タコ太(ぺいぺい)さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2024-11-14 16:56:54)(良:1票)
166.《ネタバレ》 これはすごい。今更感があって、この第1作をずっと見なかったのは失敗だった。平田昭彦さん、後年の鼻持ちならないエリート役のイメージしかなく、周りの大人がどうしてあんなにヒーロー扱いしていたのかわからなかったが、この映画を見たらそりゃヒーロー以外の何物でもない。この映画を戦後9年で作ったのだから、昔の邦画って本当にすごかったのだなとつくづく思い知ったな。世界に永遠に語り継ぐべき傑作です。
陽炎さん [インターネット(邦画)] 10点(2019-12-01 11:05:23)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 185人
平均点数 8.22点
000.00%
110.54%
200.00%
310.54%
442.16%
594.86%
62010.81%
72010.81%
83418.38%
93720.00%
105931.89%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.18点 Review16人
2 ストーリー評価 8.50点 Review24人
3 鑑賞後の後味 8.52点 Review21人
4 音楽評価 9.40点 Review32人
5 感泣評価 7.75点 Review16人
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